「あれから25年以上たつけど、一度も言うチャンスなかったねえ」
え~?そうなんだ?こんなにイケメンなのに?
「僕にはそんな器量が無くてね。だから、金〇君に献上した。多分彼ならアレンジして使えると思う。」
大慌てで謙遜して譲渡を断る金〇さんが目に浮かぶ。でも、確かに金〇さんなら、全く別な次元でそのセリフを使いこなせそう。
「僕じゃ駄目かな?僕なら君を泣かせるようなことしないよ…。」
うわ、あり得る!全然ありだ。男だけど濡れる…。惚れる…
え、でもそうしたら、僕のサンちゃんややっくんが、金〇さんに取られちゃう!
「どうせ大事にしてなかった玩具でしょ?またがせたのは君でしょ?」
今日の先生は意地悪。先生やっぱりオコなの?でも、またがせる?
ガタンっと背後で大きな音がした。
「でも、僕は…!」
サンちゃんが声を上げて立ち上がった音だ。
びくっとして後ろを確認する。
金井さんがサンちゃんを見上げながら、すっと手を伸ばして、さんちゃんの肘のあたりに手を絡めた。
普段はごつい金〇さんの手が、とてもしなやかでエロティックだ。
ちょっと受け口で、美男ではないけど、甘く優しい横顔。誠実そのものの眼差し。
手の甲に毛が生えてる男とは、とても思えない。
サンちゃんは、まるで魔法にかかったみたいに、ゆっくりと椅子に座った。
金〇マジック!サンちゃんは見かけに似合わず勝ち気で強情で、僕の言うことなんて、普段絶対聞かないのに。
金〇さんは、その手をさんちゃんの腕に沿って下にすべらせて、そのままサンちゃんの手の甲を握り、空いた右手で、やっくんの手も握ったようだ。
そして、二人に優しく語りかけている。
「う~ん、金〇君、かなり仕上げてきてるね!」
先生、身を乗り出して見てる。
「このムーブが出たら、もう決まったも同じだね!」
先生、大喜び。なんなの、この人…?