■「殺し屋募集」
スウェーデンの裏社会の犯罪は組織化・複雑化している。
ギャングの幹部は海外から、暗号化機能を備えたテレグラムやスナップチャット、シグナルなどのメッセージアプリを使用し、刑事責任を問われない15歳未満の子どもたちを勧誘している。
スウェーデン警察国家案件対応局のヨハン・オルソン局長は先月の会見で、「仕事の指示内容はディスカッション・フォーラムで公開され、ある種の求人市場のように組織化されている。請け負う側の低年齢化も進んでいる」と述べた。
ストックホルム大学のスベン・グラナス教授(犯罪学)はAFPに対し、殺しを下請けさせる際のやりとりは、オンラインを通じてのみ行われると説明した。
近所をぶらぶらしている子どもを捜して、人材として直接勧誘するケースもある。
検察によると、スウェーデンで15歳未満が容疑者となった殺人関連事件は、2023年1~8月の31件から、今年同期は102件に増加した。
グラナス教授によれば、勧誘されるのは学校になじめない子や、依存症問題や注意欠如多動性障害(ADHD)を抱えている子が多い。
既に刑罰法令に触れる行為をした「触法少年」であることも多々あるという。
「子どもたちは自分とは何の関係もない争いに勧誘されている。雇われ人にすぎない」と同教授は指摘し、必ずしも元からギャングの構成員だったわけではないと説明した。
国立犯罪予防協議会(BRA)の報告書によれば、殺しの仕事を自ら探し求める子どももいる。目的は金目当てをはじめ、高揚感を味わうため、承認欲求や帰属欲求を満たすためなど、さまざまだ。
専門家はこうした子どもたちについて、派手な服装や忠誠の誓いへの憧れがあると指摘する。
かつてギャング構成員だったビクトル・グレウェさん(25)は、「今は誰もが殺し屋になりがたっている」と述べた。グレウェさんは13歳の時、初めて警察ともめ事を起こした。
グレウェさんは、ティックトックで犯罪者のライフスタイルを美化する一部の「犯罪インフルエンサー」に言及し、「これが子どもたちの憧れとされるのは、非常に悲しいことだ」と話した。