妹は日本にいるときから、エジプトからの留学生を個人教師にして、アラビア語を勉強してたんだから。その後、大学中退して、まずカイロ・アメリカン大学に入るわけや。最初は英会話クラスだったけど、現地でアラビア語を勉強して、2年のときにカイロ大に編入した。
学歴詐称なんて言われてるけど、カイロにいた俺は目の前で卒業したのを見てるんだよ。『兄ちゃん、卒業したよ』って挨拶に来てたからね」
前述の朝堂院氏の会見について、「全部大嘘ですよ」と言い切る勇氏。ここまでこの問題が長引いている要因について、百合子氏の性格をこう分析した。
「あれは、けっこう秘密主義やから。ピシッと閉ざしちゃう。また、ネタにされるのが嫌なんじゃないか。卒業証書も出したら出したで、スタンプが違うとか言うやん。だから、出してなかった。(当時、証書を見たか?)『こんなんや』って、ちらっと見たかな……見てないかな……」
不仲を明言する勇氏だが、政治家としての百合子氏は、おおいに評価しているという。
「妹には大義がある。2期めはコロナもあって、いろいろと掲げた公約がまともにやれなかったと思いますよ。だから、3選目指すのはいいことですよ。
妹の政治活動については、日本新党で初当選したときに選挙を手伝ったきりです。そのとき俺は英語がしゃべれるんで、外国人記者の窓口的なことも少ししました。
都政にはまったく携わってない。でも、コロナ禍の最初のときに、都民の一人として『感染者数より重症者数のデータを見ろ。防衛大臣やってたから防疫はわかるやろ』といったメールを送ったけど、何も返信がなかった。一方通行です。
でも、彼女の発言を聞いていたら『たぶん俺のメールを見たな』と思う部分はありましたね」
今回、百合子氏は後援会の婦人部長を代表にした政治団体「東京をもっと!よくする会」を設立した。そこで “ブレーン” となる百合子氏の元公設秘書は選挙戦について、こう話した。
「政党は入れず、ボランティア個人個人の参加です。前回の都知事選や、これまでの都政活動で広がった支持者にポスター張りなどをお願いする形です。政党にお願いすることはないと思います」
少し前まで、東京五輪などで自民党と手を取り合ってきた百合子氏だが、元公設秘書の言葉からも、今回の都知事選では “無党派” を強く押し出すのだろう。
勇氏は妹の姿勢をこう評価する。
「まあ『機を見るに敏』だね。その見極めはすごいね。よく “風見鶏” って言われるけど、党は違っても主張は変わってないでしょ」
蓮舫氏と事実上一騎打ちの今回も、妹の勝利を確信しているという勇氏。取材の最後、なぜかこう呟いた。
「俺もフィクサーになりたいね……」