マーベル映画いつまで続くの?ケヴィン・ファイギ「『風と共に去りぬ』後に小説原作の映画がいつまで続くかと聞かないだろう?」
「もう22年もマーベル・スタジオで仕事をしている」と話すケヴィン・ファイギは、次のように振り返っている。
「確か自分がマーベルで2年目の時だったかな、こんな風に聞かれたことがありました。“どれくらい続くんですかね?このコミック映画ブームって終わるんですかね?”って。」
ファイギの2年目を2002年とすれば、この年は『スパイダーマン』(2002)が公開された時期であり、『X-MEN2』(2003)『デアデビル』(2003)『ハルク』(2003)などが製作されている頃だ。
現在にまで続くアメコミ映画ブームが、まさに立ち上がった頃である。
もっともファイギは、このブームがいつまで続くかという質問の「意味がわからなかった」という。その心は以下の通りだ。
「だって、それって『風とともに去りぬ』が公開された時に、“小説が原作の映画って、あとどれくらい製作されますかね?観客は本が原作の映画化に飽きると思いますか?”って聞かれるようなものですよ。
大抵の人には、本はどうにでもなり得るという共通認識があるから、そんなこと聞かないですよね。
小説というのはどんなタイプのストーリーでも良いんです。だから、どういうストーリーを翻案するか次第ってことです。コミックでも同じことなのに、コミックを読まない人は、それをわかっていない。」
コミックに明るいファイギは、映画の原典となるマーベル・コミックについて「興味深くてエモーショナルで、画期的なストーリーの歴史が80年分ある」と話す。
「そこから映像化できるというのは特権です。別のやり方としては、何か違うジャンルに合わせて、どんなタイプの映画を作りたいかを考えることもできるわけです」。
ファイギが考えるコミック映画化の極意とは、「ストーリーをきちんと伝えて、正しく翻案できれば、観客は22年以上追いかけてくれる」というもの。
「これからもそうだと願います。タイトルの上にマーベル・スタジオのロゴがついた、そして私たちの出版の歴史からアイデアがうまれた、この2点を分かち合う映画を、私たちはどんな形でも作ることができるのです」。
MCUではヒーロー・アクションにジャンルを絞りすぎることなく、スパイ・スリラーや青春もの、コメディ、時にシットコムなど、様々な手法を取り入れてストーリーテリングに幅を持たせている。
それはコミックでも同じことで、とりわけ作品ごとにアーティストが異なるアメリカのコミックでは、同じキャラクターの作品であってもタイトルによって作風がガラリと異なっている。
ファイギの言うように、80年の蓄積ある多種多様なコミックに正しく向き合えば、MCU作品はいかようにも変化できるというわけだ。
https://theriver.jp/feige-marvel-fatigue/