年金受給者情報の入力漏れが発覚して混乱が広がった
(株)SAY企画(TSR企業コード:295785276、法人番号:4013301020174、豊島区東池袋1-48-10)は10月19日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には藤井和典弁護士(山王シティ法律事務所、港区赤坂2-2-21)が選任された。
負債は現在調査中。
データベース構築・入力業務を柱にシステム受託開発を行い、厚労省など官公庁からの受注が売上高の9割を占めていた。日本年金機構(TSR企業コード:298115255、法人番号:4011305001653、杉並区)から年金受給者のデータ入力業務を受託するなどで、2015年3月期には売上高約8億4100万円をあげていた。
しかし2018年2月、日本年金機構との契約に反して無断で扶養親族等申告書の入力業務を中国の業者に委託していたことが発覚。また、多数の入力漏れなどにより年金受給者の源泉徴収額が正しく反映されない事態が発生した。
入力漏れが判明した約6万7000人については日本年金機構が入力作業を行い、2018年3月15日の支払い時に還付。また、同年2月15日以降に判明した約1万7000人の入力漏れは、4月13日の支払い時に正しく反映される作業を行ったが、入力誤りは約31万8000人を見込むなど混乱が広がった。
日本年金機構は、当社の不正行為を受け、内規に基づく停止措置としては最長期間となる向こう3年間、競争入札への参加資格を停止した。処分理由は、期限内の納品遅れの常態化や入力漏れで履行しないものがあったほか、再委託禁止だった業務を無断で海外の関連業者に再委託していたことなどだった。一方、ずさんな仕事ぶりが明るみになった業者との契約に対する日本年金機構への批判も出ていた。