毎年、世界経済フォーラムが公表するジェンダーギャップ指数(GGI)の国際ランキングにおける日本の順位の低さが話題になり、多くの慨嘆がさまざまな媒体で表明される。
◆片面だけを見ている
周知のように、GGIは政治・経済・教育・健康という大きく四つの指標から成り、各指標はさらに複数の項目から算出される。
この中で日本の順位を特に引き下げているのは政治の分野であり、国会議員、閣僚、首相などの女性比率が極めて小さいことがその原因である。
次いで経済分野でも、女性の労働参加率は高いものの管理職の女性比率が低いためにランクは下がる。
こうした、政治や経済の分野における女性の少なさは確かに問題だ。
日本の異常ともいえるジェンダー格差のもとで、女性がもっと社会進出すべきであることは論をまたない。
しかし重要なのは、それだけではコインの片面だけを見ているにすぎないということだ。
男性を標準として、女性が少ない、女性が劣っている、女性ももっと、というメッセージが、ジェンダーギャップ指数の指標そのものに含まれている。
そのメッセージが覆い隠すのは、「日本の男性の状況の異常さ」である。
◆希望に合わない生活をしている
むろん、日本の男性の家事・育児時間の少なさはよく知られている。
どんな国際比較データを見ても、多数の国の中で最低水準である。
それが日本の男性の労働時間の長さと表裏一体であることも知られている。
だから男性も「働き方改革」を、もっと家事育児を、という要請が広がっている。
しかし聞こえてくるのは、これからは仕事もしっかりこなして家事も育児もか、という「男はつらいよ」という男性たちの鬱屈した声である。
これでは出口は無い。