「魔界戦記ディスガイア」シリーズなどで知られるゲームソフト開発企業の日本一ソフトウェアは、急激に進む円安局面での隠れた勝ち組だ。
売上高の約6割を北米地域で稼ぎ、為替差益が同社の今期(2023年3月期)業績を押し上げる可能性がある。
新川宗平社長はブルームバーグの取材で、ドル建ての収益が円安で「相当大きな」差益を生み出しており、業績に「ポジティブ」との見方を示した。
四半期ごとにドルを円に換金し、ゲームの開発費などに回しているという。一方、「為替は実力でもコントロールできるものでもなく、一喜一憂はしない」とも語った。
日本一ソフトでは今期売上高を前期比12%増の63億7800万円、経常利益は15%減の14億3300万円と見込んでいる。
業績計画の前提となる為替の想定レートは公表していない。前期(22年3月期)売上高に占める地域別の比率は日本27%、北米57%、欧州14%、アジア2%だった。
ゲーム開発費のほぼ全ては円建てで、開発コストを持たない米子会社の収益貢献度は高い。
また、岐阜県の田園地帯に本社を置く同社は、東京や大阪が拠点の競合より人件費が抑えられている。
有価証券報告書によると、22年3月期の平均年収は451万円。コーエーテクモホールディングスは701万円、スクウェア・エニックス・ホールディングスは1427万円だ。
日本一ソフトの現在の為替想定を1ドル=120円と予想する東洋証券の安田秀樹アナリストは、135円で売上高は7%、140円で9%程度の上振れ余地があると分析。
各国金融政策の方向性の違いで円安基調はしばらく続くとし、業績が上方修正される可能性は「極めて高い」とみている。
ゲームの日本一ソフト、円安局面の隠れた勝ち組-北米で6割稼ぐ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-19/RF1T4TT0AFBK01