日本でも飼い犬の流行り廃りがあり、無理な繁殖や捨て犬、殺処分の話も珍しくはない。だが、中国のチベット高原に捨てられ野生化したチベタン・マスティフの窮状は、桁違いだ。なぜこれほどひどい事態に陥ったのか。どんな問題が起こっているのか。救いはあるのか。香港メディア「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」が嗅ぎつけた。
かつては珍重された犬種で、買うのに数百万元もしたチベタン・マスティフ。だが、中国ではもう流行りのペットではなくなってしまった。
その結果、何万匹もが捨てられてチベット高原をうろつき、そこで伝染病を広め、通りがかるものはなんでも攻撃している始末だ。
2014年、尹杭(イン・ハン)は、「ガングリ・ネイチョク(チベット語で「聖なる雪境」)研究・保護センター」を立ち上げた。高原に捨てられたマスティフとほかの動物たちの保護活動のためだ。
尹は以前、中国北西部の青海省でユキヒョウの保護活動に携わっていたが、ある動画を見てマスティフたちの窮状を知るようになったという。それは、1頭のユキヒョウがマスティフの一団に脅されている様子をとらえた映像だった。
「マスティフ数匹がヒョウを取り囲み、ヒョウが捕ったばかりのバーラルを奪おうとしていたんです」と尹は言う。バーラルは、山羊に似た哺乳類で、ユキヒョウのおもな食べ物だ。
「ヒョウはやがて獲物をあきらめて、去っていきました。こういったことが寺院の近くでたくさん起こっています。野良マスティフは、この地域の生態学的な食物連鎖と絶滅危惧種に悪影響を与えています」
野良マスティフによる深刻な被害
中央アジアやチベットの遊牧民族が牧羊や狩猟のために交配した犬種の子孫であるマスティフは、大型で、ものすごく忠実で、どう猛だ。
北京大学生命科学学院の研究員である劉銘玉(リュウ・ミンジュ)は、2014年から、青海省の三江源国立自然保護区でユキヒョウにマスティフが及ぼす脅威について研究している。リウの概算では、この自然保護区にいる野犬の数は16万匹ほどに上り、そのうちの97%がチベタン・マスティフの血統だという。
ユキヒョウは近絶滅種で、中国では約2000匹しか残っていない。
劉は、GPSトラッカーと赤外線カメラを用い、排泄物を分析し、ユキヒョウの生息地の17%にマスティフがいることを突き止めた。その調査結果は、2018年にニューヨークで開かれた国連の野生生物保護フォーラムで発表された。
「チベタン・マスティフはチベット高原に生息する全肉食動物のなかで最多・最速で繁殖している種です。群れを成しており、野生動物にとっての脅威になっています。食料と生息地をめぐって野生動物と競い合っているからです」と劉はフォーラムで述べた。
チベットの村人たちは、マスティフが熊を追いかけたり、家禽、キツネ、羊を食べたり、人間を攻撃したりする光景によく出くわすと証言している。
2016年には、青海省で8歳の少女が子連れのメスのマスティフにかみ殺されてしまった。
チベット自治区の当局の報告によれば、人が野犬に襲われてケガする事件は目下、月平均で180件発生しているという。
マスティフは狂犬病のほか、エキノコックス症も人に伝染させる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4c2f91a69b6f53cba883557dce7b876b3fca1df2
2億円近い売値が付いたチベタン・マスティフ
「無差別殺人者」「厄介者」といった悪評は、ごく最近までこの犬種が保持してきた高評価とは雲泥の差だ。
2014年には、チベタン・マスティフの子犬が200万ドル(約2億円)近い価格で売られ、世界で最高値の犬になったと「銭江晚報」が報じた。
浙江省の高級ペットフェアで、ある不動産開発業者が、黄金色の毛をした1歳のマスティフに1200万元(約1億9000万円)を出したのだ。
「これはライオンの血を引いていて、最高級のマスティフ種なんだ。純血のチベタン・マスティフはすごく珍しい、中国が大事にするパンダみたいにね。だから、値段も非常に高額になる」とその犬のブリーダーは述べている。
オスの成犬の体高は最低でも66cm、体重は45kg以上にもなり、たてがみがライオンに似ているチベタン・マスティフは、元朝(1271〜1368年)の頃に名高く、軍犬としても訓練された。
民話にもマスティフが登場する。あるチベットの君主が臣民を飢えから救うため、大麦の種を蛇のような怪物から盗もうとして、マスティフに変えられてしまった。マスティフとなった君主は長い道のりを歩いて、臣民のところに大麦の種を持ち帰った。
村人たちはいまでも、その君主への感謝を込めて、豊作になるとマスティフに「ツァンパ」(煎った大麦を挽いた粉で作るおかゆ)を与える。
野良マスティフが増え続ける理由
チベタン・マスティフ繁殖熱は1990年代に出はじめ、2010年代半ば頃にピークを迎えた。落札価格がうなぎ登りになり、繁殖センターがどんどん開かれた。すぐ金持ちになる手段と見られていたのだと先述の尹杭は言う。
「でも、それで実際に大儲けできた人はほとんどいませんでした。供給過剰になってしまったのです。人々は飼い続ける余裕がなくなると、マスティフを捨てるんです。地元民が街へ引っ越すときに置き去りにすることもあります。
地元のチベット人は、宗教的信仰ゆえに動物を安楽死させたがりません。(信仰のないブリーダーの場合)肉食用に犬を売っている例もあります」
国営放送「中国環球電視網」によれば、2015年までに、チベットにあるチベタン・マスティフ繁殖センター3000ヵ所のうち2000が閉じたという。価格の急落のためだ。最高で200万ドル近かったのが、いまでは1500ドル(約16万円)以下だ。
尹のガングリ・ネイチョクは、中国中から獣医を30人呼び集め、チベット人の地元獣医が野犬の去勢手術をできるよう訓練している。2019年からは、オンラインの訓練コースも始まっている。
「地元獣医たちの主な仕事は、病気予防のワクチン投与です。手術のノウハウはあまりありません」と尹は言う。
次ページは:チベタン・マスティフ業者が保護ボランティアになった理由
チベタン・マスティフ業者が保護ボランティアになった理由
2017年、ガングリ・ネイチョクは「捨てられたチベタン・マスティフ」というドキュメンタリー動画を制作した。僧侶やボランティアが取材を受け、シェルターの様子も映され、この問題に光を当てている。
この動画のなかで、サムドルップという名の村人が、犬への蛮行を目の当たりにしたあとでボランティアになったいきさつを語る。
「以前はマスティフ業者で、多少稼いでいました。あるとき、自宅の中庭でマスティフのメスを60匹飼っている男のところに行きました。そこの人たちが1匹連れてきて、意識がなくなるまで頭を叩きのめしたんです。それから、金属の鈎に吊して、生きたまま、首から皮を剥ぎました。
その犬が、まだのたうち回っていたのですが、黒板のうえに乗せられてもまだ立ち上がろうとするんです。
そんな悲惨な目に遭わせないで、なんですぐ殺さないのかと聞きました。すると男は、こうやって殺したほうがいちばん肉が旨くて栄養も出るんだと言うんです。その日は胸が張り裂ける思いで、ずっと泣きました。
それ以来、もう二度と犬を売るまい、こういう無力な動物たちを助けようと誓いました」
ドキュメンタリーのなかでサムドルップは、肉屋から犬の餌にする残飯を回収し、犬を盗もうとする人たちを追い払い、ケガをした犬を自宅で介抱し、死んだマスティフを弔うためにお経を唱えて、その亡骸を丘に運び鳥葬ししている。
尹によれば、ガングリ・ネイチョクが2017年から始めたマスティフ里親プログラムで、500匹近い犬が2村の400家庭に500匹近くが引き取られたという。
「最大の障壁は、そういう巡回ができるのは1年のうちで数ヵ月しかないということです。毎回、数村しか訪問できません。でも、地元の人たちは里親になってくれることに前向きです。こうしたやり方が犬にとっても地元の環境にとっても最善だと思ってくれるからです」
チベタン・マスティフを都会で飼う前に…
「コーカシアン・オフチャルカ&チベタン・マスティフクラブ香港」の広報ボウイ・リョンは、香港で捨てられたチベタン・マスティフを何匹も救ってきたと言う。
「香港には広いスペースがないんです。飼い主たちには、マスティフを世話する忍耐力もお金も時間もろくにない。
小さい犬種より医療費も高くつきます。たとえば、普通サイズの犬の胃腸炎を治療するのに800香港ドル(約1万円)かかりますが、マスティフだと2400ドル(約3万2000円)になります」
「散歩させないと、犬はなおさらどう猛になります。飼い主たちは手の施しようがなくなって、私に連絡してくるんです。安楽死させられた犬たちもたくさんいます」
リョンは、マスティフをペットとして買う前にはよく考えるようにと言う。
「子犬のときはすごくかわいいのですが、そのうち90kgくらいの獣に育ちます。飼いたいなと思っている人は、近所に広いところがあるか、リーシュをつけて散歩させられる体力の自信があるかよくよく考えるべきです。
最後に飼ったマスティフは、よその人になつきませんでした。訓練しても性格は変わらず、午前2時に散歩させるしかありませんでした。マスティフをペットにするには犠牲が伴うのです」 たまたま通りがかった嫌儲民と闘いになり
いなされるがまた、その優しさに触れたチベタンマスティフが心を開く展開
わーくにだと柴犬でそれおきてるよなw
精神病の柴犬とか売って手に負えなくて問題になっているという
だからどこも柴犬の訓練は普通の犬の2倍の金を取るというw
いやこええわ こんなのに噛まれたら死ぬわ
うちの近所にゾルディク家が飼ってそうな犬連れてる人いるわ
>>1
>その結果、何万匹もが捨てられてチベット高原をうろつき、そこで伝染病を広め、通りがかるものはなんでも攻撃している始末だ。
万単位かよ
やることが豪快過ぎるだろ ペットなんて流行廃りで飼うもんじゃない
20年は面倒見る覚悟で飼え
>>12
柴犬ってペット向きじゃないから
犬に慣れてない人は手出しちゃだめ 大型の方がカッコいい風潮あるけど事故リスクは怖いよなぁ
『ちゃんと躾けられれば』いいんだろうけど
大型犬なんてちゃんとしつけて上下関係をハッキリさせられるなら飼えよ
もちろん人間子供から大人まで上だと分からせられるしつけだからな
痛めつけてから殺すと肉が旨くなるってほんまかいな
韓国人じゃあるまいし
>>15
野望の王国のチャウチャウってこれの間違いか これ犬だけど気性はクマくらい荒いらしいな
躾けるのに訓練士必要ってニュースかなんかで見た
>>12
豆柴とか奇形交配で金儲け用に量産して大量出荷してるから
ミニチュア〜とか豆〜に関わる奴ら全部虐待の常習犯だな これ熊ともライオンとも戦ったといわれる勇敢な犬とは違うの?
育成失敗したら捨てるしかないわな
中国には保健所みたいな施設はないんか
大型犬とか闘犬飼うやつのガイジ率やばすぎるんだよ
はよ許可制にしろ
これが何万匹もうろついてるのはヤバいだろ
絶滅しそうになってる動物はもうその環境にあってないから移植するのが一番だよ
外来種って原産国じゃ居場所を失ってるケースが多くてたまたまその環境がバッチリあってるから繁栄してる
日本じゃ野良犬って見なくなったよな
この前久しぶりに見たと思ったらよく見たら狐だったし
>>52
確かライオンよりも強いんだっけ?
こいつ やべえ・・・やべえよ・・・
>チベット自治区の当局の報告によれば、人が野犬に襲われてケガする事件は目下、月平均で180件発生しているという。
>マスティフは狂犬病のほか、エキノコックス症も人に伝染させる。
え、コイツら凶暴なの?
デカくてモフモフしてる奴は大人しいと思ってたのに…
>>75
モフモフ寸胴というか首周りの肉がダルダルしてるやつは噛まれても喉笛に牙が届かないようにしてあるから実際は凶暴なんじゃねーかな >>6
ハルチカの時は利殖に使われるぐらいの希少種だったのにな >>63
なんだかんだで登録制度はちゃんと機能してるってことだよ
俺らが知らない間に保健所の住人になる これが高いってニュースまでは知ってたけど金になるからってどんどん増やして価値暴落までは知らんかった
>>38
保護犬活動してるけど、あの後はハスキーの放棄犬増えて悪夢だったわ。
譲渡決まるまでボランティアの家で飼うんだけど
大型犬は無理って家も多いし。 こんなのに追い回されたらおしっこちびるわ
>>15
2枚目昔いっしょに働いたパートさんにそっくり >>93
大型犬は二年も飼ったらもう手に負えないサイズになるし
次の飼い主が決まってもなかなか懐かないよな
日本の住宅事情にやさしくないくせに獰猛な大型犬はやべーわ > 2016年には、青海省で8歳の少女が子連れのメスのマスティフにかみ殺されてしまった。
>チベット自治区の当局の報告によれば、人が野犬に襲われてケガする事件は目下、月平均で180件発生しているという。
>マスティフは狂犬病のほか、エキノコックス症も人に伝染させる。
怖すぎる
えーー
こんな巨犬が何万匹も野良化してるのかよ
そこはジャングルよりこえーな
チベット住民の信仰があるから野生生物の駆除は難しいのか
非信徒が駆除を強行したら凄まじい軋轢を生むだろうからな
チベット仏教の信仰と反しない範囲で、地道に去勢と飼い主探しをやるしかないんだな
気の遠くなるような話だ
>>52
ゲームで普通にモンスターとして出てきそう やっぱシナ人ゴミすぎるやろ
こんな国と仲良くするとかありえん
>>116
野犬や狼は群れで戦略的な狩りをして、しかも一度狙いを定めたら狩るまで諦めないってのが売りだからな
その構成員が全部チベたんとかアフリカの猛獣より怖い チンギス・ハーンが軍用犬として3万匹引き連れてたぐらいだし
>>15
なんちゅうでかいチャウチャウや…
わしはあんなにでかいチャウチャウを初めて見たで… >>13
サザエさんってリアルだとこういうヘアスタイルなんだな >>8
ウィードの最初の敵ボス『怪物』のモチーフがチベタンマスティフ >そんな悲惨な目に遭わせないで、なんですぐ殺さないのかと聞きました。
>すると男は、こうやって殺したほうがいちばん肉が旨くて栄養も出るんだと言うんです。
苦しめたほうが甘くなるとかいうキチガイの発想どこから来たんだよ
中国に限らずもう世界中でペット禁止にしてほしいわ
ペット飼う喜びより悲しみのほうが多いだろ
>>17
クソ高い→繁殖業者多数→価格崩壊→野良増加
というながれだな
こんなのが群をなしてるとか
中国で起こることも日本とかで起こったことの後追いではあるんだが
スケールが凄まじくなるなあ マスチフってでかいだけじゃなくてかなり獰猛らしいな
これ捕まえるたって大仕事やな
めちゃくちゃ高いイッヌじゃん
子犬が100万とかするぞ
こんなクソデカガイジ犬捨てるなよ
野良犬保護センターこの犬でパンッパンでワロタ
>>13
アメリカ版サザエさんはタマがマスチフになるのか 何でチベット自治区でそんな大量に野犬化してんの?
新手の侵略でワザとやってる?
ある程度輸入して鹿害の多い山に離せばオオカミのかわりになりそう
そりゃこんなことして遊んでたら報復されるに決まってんだろ
韓国人に狩らせろよ
希少種の肉とか食ってみたいだろあいつらも
海外で柴犬が流行ってるけどあれも廃れたら野犬化しそうで怖いな
大型犬は大人しいみたいな決め付けが通訳しない
詰みですね
>>139
高い餌代とか大きな檻に広い敷地が必要な犬なんだよ
つまり金持ちの象徴だから流行った
でも金喰うし老人が飼えるような犬じゃないから捨てられる >>144
ストレス与えた肉の方が旨くなるのは本当 >>1
ユキヒョウや熊を追いかけるって
そんな犬いたのかw >>152
これだけいるならいっそ食材にしたらいいのに
一度くらい犬肉食べてみたいわ >>12
例の有名訓練士も、芝犬は基地外だから誰も訓練したがらないって言ってた 羊をクマやヒョウから守るんだからそりゃ強いわ
本来なら都市部の富裕層が飼っていいもんじゃないんだろうな
保護した犬アメリカとかヨーロッパの金持ち愛犬国家に輸出すれば
アメリカ人とかでかくて強い犬大好きだろ
犬は公共の場に連れて行けてコミュニケーションとれる唯一のペットだからブームになりやすいんだよな
アメリカでも人気のドラマや映画に出てくる犬種がブームになって飼われてる
向こうは犬食べるんだからどんどんとっ捕まえて食えばいいだけ
ゲームハンティングの獲物として撃たせれば良いんじゃね
このサイズ狩るのなかなか出来ないし
違法にアフリカの野生生物狩るよかマシだろ
黒人にかみつかせる需要のあるアメリカに輸出すればいい
こんなのが数万匹チベットに放棄とか
これもう中国によるチベット浄化作戦だろ
>>183
>>3の記事だと食肉として購入する層もいるっぽい(販売側は多分ペットとして売ってるけど)
ただ犬って牛や豚に比べて可食部少ないし食べられるようになるまでが長いしエサ代かかるし、味は個人の好みだとしても食肉用での畜産には向かないかなあ
今いる野良は衛生的に食肉用にはならないしね 日本でもシベリアンハスキーであったな
ペット飼うのは免許性にすべきだわ