韓国では、性犯罪の前科がある人物の個人情報を一般市民が知ることができる制度があり、ウェブやアプリで簡単に検索できる。強まる個人情報公開の背景には、市民の強い警戒心がある。
韓国の国会で2日、性犯罪の前科がある人物の住所を従来よりも詳細に公開する、青少年保護法の改定案が成立した。
これにより、以前は「邑・面・洞」という最小の行政単位までだった公開範囲が、「道路名および建物番号」まで拡大される。
つまり、該当人物がどの建物に住んでいるのかが分かるようになった。マンションやアパートなど集合住宅の場合は部屋番号までは明かされないが、一軒家の場合には住居が特定できる。
韓国で「性犯罪者身上公開」と呼ばれるこのような制度は日本に存在しないため、まずは制度について説明したい。
(中略)
個人情報を登録し公開する制度の背景には「性犯罪者の再犯防止のためには厳罰主義に基づく厳格な管理監督が必要という国民的な共感」があるとする。
さらに公開対象者となっている性犯罪の前科がある人物にとっては「再犯時には簡単に検挙されるという心理的な圧迫を加え再犯を抑制する」効果があるとする一方、警察官にとっては「性犯罪発生時に登録済みのデータベースを通じ容疑者の範囲を縮小し、犯人の検挙を容易にできる」メリットがあるとしている。
また、地域住民にとっては「情報の公開または告知を通じ、性犯罪者の個人情報を知らせることで、自身と家族をみずから保護するための予防装置を備えられるようにする目的がある」と明かしている。
このように今でこそ当然のようになっている情報公開制度だが、導入初期には大きな議論となり2002年には違憲訴訟も行われた。当時の裁判資料を見ると、焦点は「二重処罰にあたるのか」や「過剰な刑罰にあたるのか」などだった。
合憲とした裁判官の意見には「情報公開は犯罪者個人を処罰するのではなく、現存する性暴力の危険から社会共同体を守るという認識を高めようとするもの」というものがあった。
一方、違憲とした意見には「情報公開は現代版の『らく印』にあたる羞恥刑ととても似た特性を持ち、人間としての基本的な尊厳と価値を保障する憲法理念に反する」と人格権の否定を指摘するものがあった。
(全文はWebで)
https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20201207-00211371/