
ドイツ政府、日本との哨戒機開発に慎重=認証取得で海自P1不利に
【ベルリン時事】日本が防衛装備品輸出の一環として模索してきた、ドイツとフランスによる哨戒機共同開発への参画について、ドイツ政府が慎重姿勢を強めていることが7日、分かった。
関係者によると、日本が共同開発のベースとして売り込む海上自衛隊のP1哨戒機について、ドイツは早期に軍用機としての型式証明を取得できるかどうか不安視しているという。
独仏両国のうち、より積極的だったドイツが慎重姿勢に転じたのは大きな打撃で、米ボーイングなどとの競争で不利になった。
P1は初の国産哨戒機として防衛省と川崎重工が開発。海自が潜水艦の監視などに用いている。これまで英国やニュージーランドへの売り込みが図られたが、いずれもボーイングの「P8」に敗れた。
独仏は現行哨戒機が運用期限を迎える2035年に、共同で次世代機を導入する計画を打ち出している。日本はP1の技術を提供し、次世代機を共同開発する形で関与する可能性を探ってきた。
しかし独国防省は今年6月、現行の米ロッキード・マーティンの「P3C」について、改修費の問題から運用終了を25年とし、35年までは「暫定措置」として、別の機体を調達・運用する方針を決定。
独国防省は下院国防委への資料で「暫定措置」の例としてP8など複数の機体を挙げたが、時事通信の取材によるとP1は入っていなかった。
ドイツ側はP1の型式証明取得に「5年超」(関係筋)かかる可能性があるとみており、25年に間に合うかに疑問符が付いている。
さらに、通常数十年は使う哨戒機を10年で変更するのは不利益も大きく、「暫定措置」として選ばれた機体が、結果的に35年以降も独仏で共同で使う機体となる可能性がある。
P1は最初から哨戒機として設計された機体で、旅客機ベースのP8より海上の監視に求められる低空低速飛行に優れる一方で、コストは高い。
日本は独仏のエアショーに出展するなど感触を探ってきた。特にドイツは、ロシア潜水艦の監視への活用を考慮し、国防省関係者が訪日して視察を重ねるなど関心を示してきた。 【了】
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