――先ほどからサーバーのコストや構造といった話が出ているので、本作で使用されているサーバーに関して簡単に説明をいただいていいですか?
鈴木 『ブループロトコル』では複数のサーバーを連結してひとつのサーバーとみなすメガサーバー形式を採用しています。厳密には若干違いますが、
イメージとしてはチャンネルひとつひとつがそれぞれサーバーをひとつずつ占有しているような形です。
――だからサーバーがひとつ落ちてしまっても、ほかの生きているサーバーに移れるわけですね。
鈴木 はい。そして複数のサーバーは街やフィールド、ダンジョンといったエリアごとに分けられていて、それぞれに最大収容人数が決められているんです
。たとえば、街には200人、フィールドには30人、ダンジョンには6人といった具合です。
ひとつひとつのサーバーにかかる費用は同じなので、費用だけで言えばいちばん大人数が入れる街がコストパフォーマンス的に優れると言えます。
――あれ、もしかして、CBTでやたらと街に帰されていた(※)理由って……。
※CBTではアイテムをスタックできなかったり、未鑑定状態だと別アイテム扱いになったりなど、すぐにバッグがいっぱいに。そのため、アイテムの売却や倉庫への預け入れのために街へ戻る必要があった。
鈴木 フィールドには30人が入れると言いましたが、実際に30人マックスで入り続けるっていう状況は少ないので、定期的に人数の少ないチャンネルどうしを結合できるようにしなければいけないんですよ。
そのためにゲームプレイのサイクルとして頻繁に街に帰ってもらう必要があったというわけなんです。
――あれは正直、ちょっとストレスに感じました。
福崎 そこは開発側でもおなじ認識です。
鈴木 ただ、CBTで得られたデータを見てみると、じつはあそこまで頻繁に街に帰ってもらう必要はないことがわかりました。
CBTでは“仕方なく街に帰る”ことが多かったと思いますが、今後は1回の冒険を十分に楽しんでから帰れるようになるはずです。
下岡 こういうデータって、やっぱり内部のテストでは得られないんですよ。がんばって300人ほど社内でテスターを集めたとしても、街をいっぱいにするのもひと苦労ですし、
いろいろな場所に閑散地を作ってしまうだけになってしまいます。ですので、費用対効果を測るためには何万人という規模のデータを得ることが重要なんです。
福崎 どのエリアにそれぞれ何%のユーザーさんがどれくらいの時間滞在するかといった正確なデータは、内部のテストではどうしても得られないんですよ。
なぜなら、彼らはクエストのありかも、目的地への最適なルートも、人の集まる場所も把握していますから。
――あぁ、たしかに。それはそうだ(笑)。
福崎 そうやってユーザーさんから正確なデータを得ることで、改めて正確な計算式が作れるようになります。
もちろんそれは費用を抑えることばかりに用いられるのではなくて、抑えた分をクオリティの向上に回せるようになるということなんです。
鈴木 たとえば、シナリオってソロで進められますけど、先ほど話した内容に照らし合わせれば、ソロプレイってサーバーコストはかなり高いんですよ。
でも、『ブループロトコル』の世界を楽しむうえでシナリオはかなり重要なので、じゃあそこにはコストをかけようといった判断ができるわけです。
――CBTをプレイしながら感じていた疑問や不満が、先ほどからだんだんと解決していっています。そんな事情があったんですね。
下岡 なかなかこういった事情をユーザーさんに説明するのは難しいのですが、しっかりと伝えていかないといけないですね。
https://www.famitsu.com/news/202007/31203124.html