このところインドに関しては、ロックダウン解除による感染者増の話題で持ち切りになっており、インド経済へのネガティブな印象が醸成されている。
一方、上記フェイスブックやKKRのJio Platforms投資は、長期的視点でインド経済を見ることの重要性を再確認させる出来事といえるだろう。
数年前からアジア経済/世界経済の中心は中国からインドにシフトするだろうとの議論が持ち上がっている。
こうした議論を再考する良いタイミングになるかもしれない。
上記論調の中でよく知られているものの1つがデロイトが2017年9月に発表したレポート「Ageing Tigers, Hidden Dragon」で主張している議論だ。
同レポートは、アジアではこれまで2つの大きな経済成長の波があったと指摘。第1の波は1980年代に日本がけん引した経済成長。
第2の波は中国主導の経済成長だ。今まさに、中国企業や中国経済の話題で盛り上がっているところだが、ピークはすでに過ぎており、
アジア経済の中心は第3の波としてインドにシフトするだろうとの見立てだ。
経済シフトを起こす要因、それは若い労働力だ。日本と中国はともに高齢化社会を迎え、少子化も相まって、労働人口は大きく減少。
日本の労働人口率はかつて70%近くあったが、1990年頃をピークに下降トレンドに入り、現在も下降を継続している。2050年頃には50%近くまで下がる見込みだ。
中国も2000年代まで労働人口率は上昇していたが、2007年頃の約73%をピークに下降トレンドに突入、2060年頃には55%まで下がると予想されている。
一方、インドの労働人口率は、日本や中国と反対の動きを見せ、今も上昇を続けている。ピークを迎えるのは2050年頃だ。
奇しくも現在インドでは、印中の係争地での小競り合いを発端に、国内で大規模な中国製品のボイコット運動が発生し、今も拡大を続けている。
中国製のアプリの削除に加え、スマホなどのハードウェアに関しても中国依存を軽減しようという動きが活発化している。2020年6月16日には、
係争地で新たな小競り合いが発生し、インド兵士が3人死亡したとの報道があった。
インドにおける中国製品のボイコット運動はさらに拡大する可能性がある。
世界中で中国離れが起こっているといわれているが、インドにおける運動がそれを加速させることも考えられる。
今後アジア経済はどのような変化を見せるのか、中国離れとインドシフト、その動向から目が離せない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b1ba8335b47c610ec793bef6ee639c9f95059d39