政府「データ流通圏」構築目指す IT総合戦略本部
政府は19日、IT総合戦略本部(本部長・安倍晋三首相)の会合を開き、個人情報や産業データを国境を越えて自由にやりとりする国際的な「データ流通圏」の構築を目指す方針を決めた。
まずは日米欧で連携し、デジタル産業の育成を目指す。一方で個人情報保護が不十分な国へのデータ移転は制限する。巨大IT企業を通じてデータを集める中国をけん制する狙いもあるとみられる。
新たなIT(情報技術)政策は、データの取り扱いを定めた「データの安全・安心・品質の確保」と「官民のデジタル化促進」が柱。来年春をめどにIT政策大綱として取りまとめる。
安倍首相はこの日の会合で「AIビッグデータ時代の新たな資源であるデータを巡って、し烈な争奪戦が世界で繰り広げられている」と指摘。「自由で開かれた国際データ流通圏を世界に広げていく」と強調した。
情報管理の信頼性が確保された国や地域に対し、データを自由に流通する「データ流通圏」構築を目指す。日米欧を視野に多国間や2国間協議で合意形成を図り、越境移転に伴うリスクに対処するルールも整備する。
だが、欧州連合(EU)は一般データ保護規則(GDPR)を施行し、巨額の制裁金を科すのに対し、日本の個人情報保護法は課徴金がないなど制度が異なっている。
多くのIT企業が本社を構える米国とも立場が異なっており、協議は難航する可能性がある。日本政府はまずは「ペナルティー」のあり方を見直す考えだ。
このほか、「プラットフォーマー」と呼ばれる米グーグルなど巨大IT企業の台頭に対応したルール整備や、AI(人工知能)を活用した社会構築を目指す「AI基本原則」を策定し、国際議論を主導することなども盛り込まれた。
巨大IT企業は膨大な顧客データを囲い込み成長したが、日本企業に強みがあるとされる健康情報や自動車の走行記録など「リアルデータ」を活用し巻き返しを狙う。
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