
東大の研究者がサッカー賭博必勝法を考案、締め出しを食らう
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東京大学の研究者が「サッカー賭博必勝法」を編み出した。賭け屋のリスク・ヘッジを逆手にとった単純なアイデアが出発点だ。しかし、研究者たちの高い勝率を知った(と思われる)賭博業界は、彼らが賭けに参加するのを制限するようになった。ルールに則った公正な賭けができないのは「おとり広告」ではないか、と研究者は憤慨している。
賭け事をしようと思ったことがあるのなら、賭け屋(ブックメーカー)やカジノが、賭けに参加する人をどのようにして不利な立場に立たせるのかを知っておこう。
分かりやすい例は、ルーレットだ。
黒と赤の数字が36あり、緑の数字は「0」と「00」だ(米国の場合)。
つまり、合計38の数字のどれかに玉が落ちる。
赤または黒に賭ける場合、勝率は38分の18であり、1ドルの掛金に対する公正な配当は2.111ドルとなる。
だが、胴元は2ドルしか払い戻さず、差額は懐に入れる。
このようにして賭け屋は利益を確保するのだ。
同様の傾向は競馬やサッカーなどのスポーツ賭博の配当倍率(オッズ)にもある。
賭け屋は必ず自分が得をするようにオッズを設定する。
しかし、スポーツ賭博におけるオッズの設定は、計算が複雑なため、ルーレットよりも難しい。
ここに欲望をくすぐる考えが浮かぶ。
オッズを賭け屋よりもうまく計算する方法があれば、賭けに勝てるのではないか。
東京大学先端科学技術研究センターのリサンドロ・カウニッツ研究員(2017年10月当時)と数人の同僚たちによる研究のおかげで、1つの答えが得られている。
カウニッツ研究員らはサッカーのオンライン賭博で常に稼げる方法を発見したのだ。
しかし、この研究には深刻な注意点がある。
カウニッツ研究員たちの高い勝率を賭け屋が知るやいなや、彼らは賭けから閉め出されてしまったというのだ。
ギャンブラーたちは長い間、賭け屋に勝とうと様々な方法を試してきたが、うまくいった例は稀だ。
なぜなら賭け屋は英知の限りを尽くして正確なオッズを計算するからだ。
通常、複数の統計専門家グループを雇い入れ、たとえばサッカーの試合の過去データを研究し、精緻な統計モデルを作成して、各試合ごとに適切なオッズを決める。
カウニッツ研究員たちが知る限りにおいては、賭け屋のシステムを打ち負かすような優れた統計モデルを開発した者はこれまでにいないという。
しかし、賭け屋の精緻な統計モデルにも弱点がある。
それは、賭け屋が、自分に多額の支払いが発生しないようにするためのリスク・ヘッジに関係がある。
たとえば、2チームがサッカーの試合をするとき、賭け屋はそれぞれのチームについて勝ち・負け・引き分けのオッズを設定する。
しかし、場合によってはオッズに関係ない理由で、多くの人が特定の試合結果に賭ける場合がある。
たとえば、あるチームに予想以上の人気が集まったときなどだ。
このような場合、人気チームが勝利したら、賭け屋は多額の支払いをしなければならない。
そこで、損を防ぐために賭け屋は、反対の試合結果(人気のない方のチームが勝つ、引き分ける)に有利なオッズを設定する。
こうすることで、可能性のある損失の少なくとも一部は補填できるだけの賭け金を惹きつけるのだ。
カウニッツ研究員たちは、賭け屋のこうしたリスク・ヘッジの手法に気が付いた人は好機をつかんだも同然だという。
彼らが完成させた策略は、賭け屋側でなく、客側に有利なオッズを一貫して見い出すというものだ。
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