https://digital.asahi.com/articles/ASL4B6Q49L4BUBQU012.html
赤ちゃんをみとる 我が家も5人家族
連載「赤ちゃんをみとる」は、生後43時間の命を生きた中町彪護(ひゅうご)くんと、その家族の姿を描きました。自らの体験を重ね、感想を寄せてくださった、1通のお便りを紹介します。
●喜びと悲しみが同時に
神奈川県立こども医療センターで8年前、長女を出産し、みとりました。連載を自分のことのように読みました。
初めての妊娠でした。「双子」と告げられたときは、とてもうれしかったです。でも、妊娠15週の妊婦健診で、双子のうちの1人の「心臓が大きい」と指摘されました。その後、同センターを受診し
心臓の異常がわかりました。「妊娠中に亡くなる可能性もあるし、生まれてきても助かるかわからない。助かっても心臓の手術が必要になる」と伝えられました。
女の子だとわかり、「凜音(りのん)」と名付けました。もう一人は男の子で、「凜空(りく)」。りりしくて芯が通った、まっすぐな子に育ってほしい、との願いを込めました。
帝王切開で出産し、凜音はすぐに新生児集中治療室(NICU)に入りました。徐々に状態が悪くなりました。十数時間の命を全力で生きてくれましたが、空へと旅立っていきました。凜空を出産した喜び、凜音を亡くした悲しみが同時にやってきて、精神的にとてもつらかったです。
医師や看護師、助産師が話を聞いてくれたり、声をかけてくれたり。最期は親子で過ごす時間をつくっていただき、抱っこしてあげることもできました。手形や足形をとり、一緒に家族写真も撮りました。とても貴重な時間でした。
お骨はいまも家に置いています。水をあげ、「のんちゃん」と呼んで、声をかける毎日です。出かけるときや夜寝る前、凜空や
その後生まれた次男の凜星(りんせい)(4)も「のんちゃん、行ってきます」「のんちゃん、おやすみ」と。旅行や祖父母宅へ帰省の際には、一緒に連れて行きます。
掃除中などに、ふとお骨を胸に抱くと、8年たったいまも涙が止まらなくなります。連載の記事のなかにあった「家族5人。心のなかで、いつも一緒だ」の文章に共感しました。私もいつも「我が家は5人家族」と思っています。