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10月2日、坂本冬美による特別公演「BS-TBS presents An Evening with Fuyumi Sakamoto」が
Billboard Live TOKYOで開催された。
デビュー31年目の新たな挑戦として、一流アーティストしか出演できないクラブ&レストランであるBillboard Live TOKYOに
坂本冬美が初出演を果たしたのだ。
艶やかな和服姿の坂本冬美がステージに登場すると、ステージ背後の幕が開き、ガラス越しに夜の六本木の風景が広がり、
客席からは大きな歓声と拍手が起きた。グランドピアノ、ヴァイオリン、ギター、ベース、ドラムという編成のバンドによる
重厚な演奏とともに、まず歌われたのは「夜桜お七」。
MCでは、「こんなにお客さんが近いのは初めて。恥ずかしくて下を見られないもの」と語ってファンを笑わせた。
ファンの歓声に積極的に反応していたのも、距離の近さゆえだろう。
さらに、ファンによる「冬美ちゃん」コールが入る「祝い酒」、坂本冬美のセリフが入る「男の情話」と、男唄を2曲。
そして、エレキ・ギターが激しくうなる女唄「火の国の女」と、坂本冬美のオリジナル曲が続いた。
そして5曲目は、一時歌手活動を停止していた時期に師事した二葉百合子から継承している
伝統の歌謡浪曲「明治一代女」を熱演。歌とセリフによって、坂本冬美は楽曲の世界を鮮やかに浮かびあがらせた。
一旦ステージから去った坂本冬美は、金色に輝く華やかなドレス姿で再登場。そして、
歌われたのはなんとシャンソン・メドレーだった。坂本冬美にとっては初めての挑戦だという。
バンドにはバンドネオンが参加。坂本冬美が椅子に座って歌うためにさらに客席に近づくと、
観客からは歓声が起きた。坂本冬美は、「枯葉」「バラ色の人生」「雪が降る」「愛の讃歌」といったシャンソン・ナンバーでも
見事な歌唱を聴かせる。まさにBillboard Live TOKYOでのコンサートならではの企画だ。
さらにそれに続いたのが、ちあきなおみメドレー。
現在は歌手活動から退いているちあきなおみの「星影の小径」「夜間飛行」「黄昏のビギン」「喝采」といった名曲群を
坂本冬美が歌い継いだ。特に「喝采」での哀切な歌唱は深く胸に刺さるものがあった。
ゴールデンボンバーの「片想いでいい」は1年ぶりに歌ったという。シャンソン・メドレーで活躍したバンドネオンを再び迎えて、
西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」も歌われた。
アンコールはビリー・バンバンのカヴァーにして、坂本冬美にとって演歌の枠を越えたポップスフィールドでの最大のヒット曲である
「また君に恋してる」。演歌のイメージにとらわれない坂本冬美の歌唱は、どの楽曲にも新鮮な解釈を生みだしていた。
自身の数々のヒット曲のみならず、シャンソン・メドレーやちあきなおみメドレーも歌った坂本冬美。
その歌唱は、演歌の枠を越えた「歌手」としての圧倒的な実力を感じさせた。
そして、一夜限りのステージをスペシャルなものにしようという意気込みのもと、坂本冬美が果敢にチャレンジしたことを
痛感させるコンサートであった。
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