2019年6月20日、カナダ、ノバスコシア州シェテイキャンプ沖の海上で、「パンクチュエーション」という名前が付けられたタイセイヨウセミクジラ(Eubalaena glacialis)が死んでいるのが発見された。死骸は船で近くの砂浜まで引かれて行き、そこで解体された。
タイセイヨウセミクジラは、1900年代初めに乱獲により絶滅寸前に追い込まれ、1937年に商業捕鯨が禁止された。その後生息数は安定したものの、回復には至っていない。死亡数は年に数頭だが、ほとんどが船に衝突したり漁具に絡まって命を落としている。2000年代初めには500頭だった個体数が、2010年以降は急速に減少し、今では400頭まで落ち込んだとみられている。
そして2017年、事態はさらに悪化した。北米東海岸のカナダ沖で12頭、米国沖で5頭の計17頭が死んでいたのだ。その前の5年間で死んだ総数の2倍近くに相当する。研究者や政府関係者たちは、原因究明を急いだ。
米国とカナダの国境を越えたすぐ先にあるファンディ湾では、以前からクジラの保護を目的に航路が見直されていた。これまでは、この辺りがタイセイヨウセミクジラの北限だったが、クジラの主なエサであるプランクトンのカイアシ類が分布域を北へ広げたため、クジラたちもそれを追うように北へ移動した。
一方、ファンディ湾の少し北にあるセントローレンス湾では、漁業も海運業もセミクジラへの対応など想定していなかった。
2018年、カナダ政府は新たな漁業禁止海域や新しい航路、船の制限速度を設けた。するとその年、タイセイヨウセミクジラの死は3頭にとどまり、カナダでは1頭も死ななかった。新たに子どもも生まれなかったが、死亡率が減少したことで関係者らは胸をなでおろした。
2019年1月には、米ジョージア州とフロリダ州沖の繁殖海域で7頭の子クジラ誕生といううれしいニュースもあった。ところが、その後状況は再び暗転する。
6月4日、セントローレンス湾上空を飛行していた調査機が、血の海のなかで浮かんでいる「ウルヴァリン」という名の9歳のセミクジラを発見した。ウルヴァリンは幼いころ船のプロペラに衝突し、背中に3本の傷を負っていた。その傷がアメリカン・コミックのキャラクター「ウルヴァリン」を思わせることから、そう名付けられた。
たった9年という短い生涯で、ウルヴァリンはわかっているだけで漁具に3回引っかかったが、いずれも自力で抜け出した。だが、ウルヴァリンは運がいい方だった。漁具が絡まると、体の自由が利かなくなって溺死したり、エサが取れずに餓死することが多い。
ウルヴァリンの死骸は解剖され、6月9日にその中間結果が発表されたが、まだ死因は特定できていない。詳しい組織検査には、あと数カ月を要するという。
一方、パンクチュエーションの死因は明快だった。
シェテイキャンプの浜に引き上げられたパンクチュエーションの背中には1.8メートルの裂傷があり、そこから内臓が飛び出していた。船に衝突したのでなければ、このような傷を負うことはない。腐敗が進んだ死骸は、なぜか甘い香りを伴う刺激臭を放っていた。
研究者と獣医は、パンクチュエーションの解体に取り掛かった。鋭いナイフを使って厚い脂肪を切り開いていく。獣医のピエール・イブ・ダウ氏がクジラの体内に腰まで入ると、防水の胴長はあっという間に血にまみれた。日が高くなるにつれて異臭はますますひどくなっていったが、ダウ氏は気に留める様子もなく作業を続ける。ショベルカーを使って、脂を次々にはがしていく。そのたびに脂身が砂の上にどさりと落ちた。
体の様々な部位から、組織や内臓のサンプルが採取された。サンプルはひとつひとつ記録され、専門の研究機関で分析し、今後の調査に役立てる。「彼らの死を無駄にしないことが重要です」。州都のハリファックスを拠点とする動物保護団体マリン・アニマル・レスポンス協会のトーニャ・ウィマー氏は言う。パンクチュエーションは、最後に骨まで外されて運ばれていった。
続く
以下ソース
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/073100449/
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タイセイヨウセミクジラは、1900年代初めに乱獲により絶滅寸前に追い込まれ、1937年に商業捕鯨が禁止された。その後生息数は安定したものの、回復には至っていない。死亡数は年に数頭だが、ほとんどが船に衝突したり漁具に絡まって命を落としている。2000年代初めには500頭だった個体数が、2010年以降は急速に減少し、今では400頭まで落ち込んだとみられている。
そして2017年、事態はさらに悪化した。北米東海岸のカナダ沖で12頭、米国沖で5頭の計17頭が死んでいたのだ。その前の5年間で死んだ総数の2倍近くに相当する。研究者や政府関係者たちは、原因究明を急いだ。
米国とカナダの国境を越えたすぐ先にあるファンディ湾では、以前からクジラの保護を目的に航路が見直されていた。これまでは、この辺りがタイセイヨウセミクジラの北限だったが、クジラの主なエサであるプランクトンのカイアシ類が分布域を北へ広げたため、クジラたちもそれを追うように北へ移動した。
一方、ファンディ湾の少し北にあるセントローレンス湾では、漁業も海運業もセミクジラへの対応など想定していなかった。
2018年、カナダ政府は新たな漁業禁止海域や新しい航路、船の制限速度を設けた。するとその年、タイセイヨウセミクジラの死は3頭にとどまり、カナダでは1頭も死ななかった。新たに子どもも生まれなかったが、死亡率が減少したことで関係者らは胸をなでおろした。
2019年1月には、米ジョージア州とフロリダ州沖の繁殖海域で7頭の子クジラ誕生といううれしいニュースもあった。ところが、その後状況は再び暗転する。
6月4日、セントローレンス湾上空を飛行していた調査機が、血の海のなかで浮かんでいる「ウルヴァリン」という名の9歳のセミクジラを発見した。ウルヴァリンは幼いころ船のプロペラに衝突し、背中に3本の傷を負っていた。その傷がアメリカン・コミックのキャラクター「ウルヴァリン」を思わせることから、そう名付けられた。
たった9年という短い生涯で、ウルヴァリンはわかっているだけで漁具に3回引っかかったが、いずれも自力で抜け出した。だが、ウルヴァリンは運がいい方だった。漁具が絡まると、体の自由が利かなくなって溺死したり、エサが取れずに餓死することが多い。
ウルヴァリンの死骸は解剖され、6月9日にその中間結果が発表されたが、まだ死因は特定できていない。詳しい組織検査には、あと数カ月を要するという。
一方、パンクチュエーションの死因は明快だった。
シェテイキャンプの浜に引き上げられたパンクチュエーションの背中には1.8メートルの裂傷があり、そこから内臓が飛び出していた。船に衝突したのでなければ、このような傷を負うことはない。腐敗が進んだ死骸は、なぜか甘い香りを伴う刺激臭を放っていた。
研究者と獣医は、パンクチュエーションの解体に取り掛かった。鋭いナイフを使って厚い脂肪を切り開いていく。獣医のピエール・イブ・ダウ氏がクジラの体内に腰まで入ると、防水の胴長はあっという間に血にまみれた。日が高くなるにつれて異臭はますますひどくなっていったが、ダウ氏は気に留める様子もなく作業を続ける。ショベルカーを使って、脂を次々にはがしていく。そのたびに脂身が砂の上にどさりと落ちた。
体の様々な部位から、組織や内臓のサンプルが採取された。サンプルはひとつひとつ記録され、専門の研究機関で分析し、今後の調査に役立てる。「彼らの死を無駄にしないことが重要です」。州都のハリファックスを拠点とする動物保護団体マリン・アニマル・レスポンス協会のトーニャ・ウィマー氏は言う。パンクチュエーションは、最後に骨まで外されて運ばれていった。
続く
以下ソース
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/073100449/
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