なんと、ワクチンは「病気にかからない薬」じゃなかった…!じつは、「免疫を活性化」させて、感染しても「重症化させない」ことが本当のお役目
世界の感染者数、死亡者数が増加する中で、ワクチンは新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)を収束させる切り札だと考えられてきました。ただ、ワクチンができた後も流行が止まったわけではありません。
折しも、2023年のノーベル医学・生理学賞は、新型コロナウイルスのワクチン開発で大きな貢献をした、カタリン・カリコ氏と、ドリュー・ワイスマン氏の2人が選ばれました。
いま、注目を集める「ワクチン」とは、いったいどういう働きをするのか、RNAワクチンの何が新しいのか、科学的なメカニズムに迫ります。
▽ワクチンが働く仕組み
ワクチンは、18世紀にエドワード・ジェンナーが種痘によって天然痘を防ぐことを考案したことから始まります。これを普遍化したのが、フランスの細菌学者ルイ・パスツールです。パスツールは、病原体を弱毒化することで多くの病原体に適用できる「弱毒生ワクチン」の手法を確立しました。
ただし、ワクチンに使える弱毒変異株は常に得られるわけではなく、強毒に戻ってしまう可能性もあります。そこで病原体を殺して投与する「不活化ワクチン」や、病原体のタンパク質の一部を投与する「コンポーネントワクチン」が考案されました。
弱毒生ワクチン:弱毒した変異株を投与
不活化ワクチン:病原体を殺して投与
コンポーネントワクチン:病原体のタンパク質の一部を投与
ワクチンによる感染防御の主体は、抗体とキラーT細胞です。またB細胞に優れた抗体をつくらせるためにはヘルパーT細胞も欠かせません。これらの細胞は獲得免疫の主役たちですが、獲得免疫を誘導するには自然免疫を活性化する必要があります。
精製したタンパク質成分だけのコンポーネントワクチンは、自然免疫を活性化できません。そのためコンポーネントワクチンは、「アジュバント」と呼ばれる自然免疫を活性化する物質を加えて投与します。
例えば、子宮頸がんワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン)は、ウイルスの殻のタンパク質成分だけを投与するコンポーネントワクチンであるため、アジュバントとしてトル様受容体4(TLR4)を活性化する脂質が含まれています。
(ソースにて)
https://news.yahoo.co.jp/articles/37311adb4562861056e4506ac037c87a3f52e887