母親からの電話で一気に不安に
母親は悲しい声でこう言いました。
「美鈴、悪いんだけど助けてくれない? 月に5万円ほど仕送りを送ってほしいの」
美鈴さんの両親は2人とも70代の老夫婦で地方に住んでいます。
父親は元会社員、母親は専業主婦で、2人で月20万円程度の年金はあったものの、生活費には足りず、貯金が底を尽きかけているというのです。
2人は歳も歳なので働くことは厳しく、頼れるのは一人っ子の美鈴さんだけだといいます。
親思いだった美鈴さんは電話を受けて驚きはしましたが、「すぐに仕送りをする」とOKしました。
ですが、彼女は1ヵ月分の仕送りをしてみて、自分にその余裕がないとわかり、今後の生活が急に不安になってしまいます。
美鈴さんは、42歳になった今でも年収は30歳の頃と変わらず、ほぼ400万円のままで、貯金も月に3~5万円程度しかしていなかったのです。どうにか500万円程度の貯金は貯まっていたものの、親に仕送りをすると、これまでと同じようには貯金ができないことになります。
「私の親は特に浪費家でもなかったのに…なんでそんな状況に? というか…私の老後は大丈夫なの?」
美鈴さんは自分の老後が不安になったそうです。老後資金は2000万円必要だと話題になっていたことを思い出し、このままでは2000万円に届かないことに気づきます。
その後、楽しみだった旅行や飲み歩きを控えることで、なんとか親への毎月の仕送り分は確保できました。しかしやはり自分のための貯金は十分にはできません。
そして、どうしたらいいかを考えた末に、結婚して男性に支えてもらうという結論に至ったのです。
美鈴さんは改めて、婚活に励むことを決意しました。
10年前よりさらに状況は悪化。今度はそれでも止められない!
美鈴さんは、改めて婚活アプリを始めたのですが、10年前との違いに愕然とします。当時と比べると男性から声がかかる頻度が圧倒的に少なくなったのです。
たまに声をかけられても、50代、60代の男性、年収が自分よりも少ない男性、容姿が悪い男性だったといいます。
年齢は40歳を過ぎたとはいえ、まだそれなりに容姿に自信のあった美鈴さんは、この状況にかなりのショックを受けてしまいます。
彼女は婚活アプリでは理想の男性と出会うことはできないと思って結婚相談所に入所しました。
そしてアドバイザーの方に、「多くは望みません。同年代で年収500万円以上の普通の容姿の男性と結婚したいです」と伝えます。
彼女にとっては、これが妥協の限界ラインでした。
しかしアドバイザーの方から、それは高望みだと伝えられ、自分とマッチング、つまり結婚できそうな男性を何人か見せられました。
すると驚いたことに、それはアプリで声をかけてきたような、「低スペック」の男性たちだったのです。美鈴さんは強く落胆します。
その後、美鈴さんは、アドバイザーに励まされながらも婚活をがんばりました。しかし、良いなと思う男性からは相手にされず、好きになれない男性からばかり声がかかります。贅沢は言っていられないと自分に言い聞かせるものの、どうしても妥協しきれません。
結局、結婚できないまま親に仕送りをしなければいけない状況は変わらず、彼女はつらく大変な日々を送ることになってしまいました。
彼女は現在、すでに45歳を超え、未だに独身です。両親の事情も、自分の年収や婚活事情も、今のところ何も変わっていません。強いて言えば、今後や老後への不安が強まっているくらいです。なんとか、最後にはハッピーエンドを迎えられるといいのですが…。