2018年7月23日 07時13分
1998年7月に和歌山市で起きた毒物カレー事件の被害者に対し、市保健所が11年ぶりに健康調査を行ったところ、回答者の1割が今も手足がしびれ、
3割はカレーを見るなどすると不安を感じる、と訴えていることがわかった。事件は25日で発生から20年となるが、後遺症の深刻さや心の傷の深さが改めて浮き彫りになった。
市保健所は98〜2002年と07年に健康調査を行い被害者の心身のケアに生かしてきた。それから10年以上がたち、改めて健康状態を把握するため実施した。被害者63人と、事件当時被害者のおなかにいた子ども4人の計67人のうち、
死亡や転出などを除く58人に倦怠(けんたい)感や頭痛の有無などの体調面、「事件を思い出すと気分が悪くなるか」などの精神面を尋ねるアンケート用紙を6月頃に送付。7月までに34人から回答を得た。
市保健所によると、手足のしびれはヒ素中毒の後遺症「末梢(まっしょう)神経障害」で、事件で症状が比較的重かった人が継続して訴えているという。倦怠感は「ある」(「多少ある」含む)が2割だった。49人が答えた前回調査から割合に改善が見られないという。
カレーへの不安も根強く、被害児童らが通っていた小学校では今も給食に出されない。ただ、アンケートの自由記述欄には「昨年になってカレーが食べられるようになった」と心境の変化を示す記載もあったという。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180723-OYT1T50000.html