ソニーグループは21日、川崎重工業と産業用ロボット事業の新会社を設立すると発表した。人が遠隔でロボットを動かすためのシステムを提供する。ほとんど時間差なしに映像を転送できる技術などを生かし、危険を伴う作業を離れた場所から行えるようにする。工場や物流現場でリモート化が進むとみて、産業需要を取り込む。
2021年夏に折半出資で新会社を設立する。資本金は1億円。川重製のロボットを使って両社の製造現場でシステムの実証実験を行い、22年にサービスを始める。まず製造業で導入を広げ物流や医療現場向けにも売り込む。売上高などの目標は明らかにしていない。
「強みは川重のロボティクス技術と、ソニーのセンシング、通信技術だ」。新会社の社長に就くソニーの田中宏和・事業開発プラットフォーム統括部長は21日のオンライン記者会見で強調した。
両社は、通信や映像を含む遠隔作業のプラットフォームを目指す。離れた場所からリアルタイムで現場の映像を確認しながらロボットを操作したり、状態を確認したりする。顧客企業から継続的にシステム利用料を得ることで収益につなげる。
製造業では高温下の作業や化学物質を扱う危険な作業も多く、遠隔で行えるようにするニーズが高いとみる。離れた場所でも映像や操作情報を時間差なく送る技術について、ソニーの強みを生かす。将来は他社製のロボットでも利用できるようにし、海外展開も視野に入れる。
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