1取材班 ◆C8WiiS0OIk 2018/04/18(水) 02:48:24.010
先月、ある一人の元ヤクザがこの世を去った。
森崎康幸氏である。
現役当時、地元を守る古き良きヤクザらしく生きた森崎氏の葬儀には、カタギ衆が多数訪れていた。
森崎氏はカタギに迷惑をかけないのは当然で、カタギを守るために体を張り、シノギは賭博のみという生粋の任侠人だった。
自身の組である森崎組を大きくしようとすることには興味などなく、若い衆も3人ほどしかいなかったのだ。
しかし現役当時は、誰もが認めるヤクザであった。
そして斯界の超大物と兄弟分でもあったのだ。
その兄弟分とは、十七代目緋川一家の和久井一朗総長である。
森崎氏の葬儀には、和久井総長も訪れていた。
少し微笑んだ顔の森崎氏の遺影は、和久井総長との再会を喜んでいるようでもあった。
和久井総長はその遺影を真っ直ぐに見つめている。
昔のことを思い出しているのであろうか。
2人の出会いは、今から30年以上前になるという。
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2取材班 ◆C8WiiS0OIk 2018/04/18(水) 02:49:03.390
当時、丸山組内の和久井会会長だった和久井一朗は、1000人ほどの組員を抱えていた。
上納金を徴収すれば裕福な暮らしをできたはずだが、和久井はそんなものを徴収しようという気は全くなく、自らのシノギで生計を立てていたのである。
そんなある日、懇意にしていたカタギの社長と食事をしていたとき、こんな話を耳にした。
「私の知り合いに極道らしい極道がいるんですよ」という内容である。
極道らしい極道。
和久井はその言葉が非常に気になった。
1000人の組員を抱える身ではあるが、それが極道らしい極道かと言われたら違うという意識が和久井の中で強くあったのだ。
なので、その社長が言う極道らしい極道に一度会ってみたいと思った。
そして一週間後、和久井は社長と共に、その男に会いに行くこととなった。
和久井たちを乗せた車が到着したのは、その男の事務所である。
事務所前も路上駐車できるほど広くはないので、和久井の運転手は「どこかに停めてきます」と言い、駐車場を探しに行った。
事務所はかなり小さくて古びており、玄関には看板もない。
扉を開けると、机とソファだけがあり、ソファには一人の男が座っていた。
彼こそ、極道らしい極道と呼ばれていた森崎康幸だった。
森崎はソファから立ち上がると「あぁ、ようこそ。汚いところですが、どうぞどうぞ」と和久井たちを気さくに迎え入れた。
話し方からはヤクザ特有の暴力のニオイなど全くしなかったが、顔や首、腕にある刀傷は、ただものではない雰囲気を醸し出していた。
森崎は茶を用意し、和久井と社長の前に置くと、笑顔で話し出した。
「和久井さん、じつはね、お噂はよく聞いてるんですよ」
和久井は「いやぁ、悪い噂じゃないんですか?」と返した。
森崎は「とんでもない。凄く立派な親分さんだと、大勢の人が言ってますよ」と言った。
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3取材班 ◆C8WiiS0OIk 2018/04/18(水) 02:49:46.060
そんな会話を交わしていると、近所の飲み屋の店員が事務所に突然駆け込んできた。
店員は焦り切った声で「森崎さん!うちの店でヤクザが5人ほど暴れてるんです!」と言った。
森崎の顔は、先ほどまでの穏やかな表情から、険しい表情に変わっていく。
そしてソファから立ち上がると「分かった。すぐ行く」と店員に言った。
和久井は「森崎さん、相手は5人だ。私も行きます」と言った。
しかし森崎は「お気持ちは嬉しいですが、和久井さんにもしものことがあったら大変です」と返す。
続けて「せっかく来ていただいたのに申し訳ありません」と言いながら、事務所前に置いてあった自転車に乗り、飲み屋へと向かったのである。
居ても立っても居られない和久井は、店員に飲み屋の場所を聞くと、社長のほうを向き「今日はありがとうございました」と言い残し、事務所を飛び出た。
事務所の前には和久井の車が横付けされており、運転手が待っていた。
和久井は「あぁ、すまんな」と言いながら車に乗った。
運転手は柴村という30歳そこそこの男で、和久井会の中でも特に頭が切れる人材である。
柴村は車を走らせながら「親分、うちの事務所に電話して、応援を呼びましょうか?」と言った。
和久井は「いや、他の者は巻き込みたくない。飲み屋に着いたら、お前も店の前で待っていてくれ」と言った。
今の和久井には、電話一本で駆け付けてくれる若い衆が何人もいる。
しかし、その地位に安住し、ヤクザらしく生きることを忘れてはいないかと和久井は自問自答していた。
カタギの依頼に対し、何も持たずに5人のヤクザに立ち向かって行く森崎の姿を見て、特にそう思ったのかもしれない。
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4名無番長2018/04/18(水) 03:06:42.610
_人人人人人人人人人人人人人人人_
> そうなんだ、すごいね! <
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