
熊本県は5日、球磨福祉事務所管内で生活保護を受ける60代の女性が、遺族共済年金などの収入を申告せず、
12年8カ月にわたり生活保護費計1160万円を不正受給していたと発表した。
女性は詐欺の罪で在宅起訴され、熊本地裁人吉支部が同日、懲役2年6月、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。
県社会福祉課によると、女性は2007年6月に生活保護費の支給が始まった当初から、遺族共済年金や土地貸し付けによる収入を申告していなかった。
支給開始に合わせ、球磨福祉事務所が日本年金機構に照会したが、当時は共済年金情報が一元化されておらず、把握できなかったとしている。
遺族年金は非課税で、毎年の課税調査でも見抜けなかったという。
20年2月、国民年金の支給年齢に達した女性に手続き案内が届かず、県が同機構に確認したところ、遺族共済年金の受給が発覚した。
県は時効にかからない不正分と加算金の計約600万円の返還を求めたが、女性が「収入はない」と言い張り応じなかったため21年3月、同種の事案で初めて県警に被害届を出した。
女性は現在も生活保護を受けており、県は支給額から毎月5千円を差し引く形で返還させる。
蒲島郁夫知事は「不正受給は、生活保護制度に対する県民の信頼を損なうもので許されない。県として不正防止に努め、関係機関と連携して適正な運営に取り組む」とのコメントを出した。
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