>>92 その84.6%という数字の出典はおそらくここ(
http://www.jcps.or.jp/publication/2704.html)だが、
>なお,性犯罪を繰り返す者の性犯罪事件の内容の推移を見るために,今回の性犯罪より前に2回以上の性犯罪前科のある者について,今回と同一類型の性犯罪前科のある者の割合を見ると,強制わいせつ(痴漢)型で100.0%,小児わいせつ型で84.6%と特に高かった。
>性犯罪前科のある者について遡及的に調べたものであることから,結果の解釈は慎重であるべきだが,前記3(1)及び(2)の結果も踏まえると,性犯罪者は必ずしも性犯罪ばかり繰り返しているわけではなく,性犯罪以外の犯罪に親和性が高い者がいること,その一方で,性犯罪を反復する者の中で見ると,同種の態様の犯行を繰り返す者が一定数おり,その多寡は類型によって異なる可能性が示唆される。
と書いてあることからもわかるように、84.6%という数字は小児わいせつをすでに2回以上繰り返している前歴のあるかなり特殊なケースを対象にした数字にすぎない
そもそも調査のサンプル数自体が小さく、全体で13件しかないうえに、同一罪名3犯以上の犯罪者の再犯率が高くなるのは、一般的にいって当たり前のことだろう
またより大きなサンプル数を対象にした(法務省.go.jp/content/000010209.pdf)では
>1犯目が性犯罪でありその後性犯罪を更に2回以上繰り返している者は,107人(分析対象者71万2,898人のうち0.015%,1犯目が性犯罪であった者1万898人のうちでは0.98%)である。これら性犯罪を多数回繰り返した者の中には,性犯罪のみを繰り返す者も相当数いるが,他方で,性犯罪の間に性犯罪以外の罪名の犯罪を犯している者も多い。
とあるように、三回以上性犯罪を繰り返すものは性犯罪の前歴があるものの中でも1%にすぎず、そもそも性犯罪を常習的に繰り返すケース自体かなり稀だということがわかる
ちなみに、性犯罪の同一罪名再犯率と同種再犯率のその他の犯罪の再犯率との比較は以下のとおり
法務省.go.jp/content/000049794.pdf
>この図は,罪名を問わず再犯自体を行う危険性を示す「一般的再犯危険性」の高さを基準に,罪名別の再犯率を示したもので,上位から順に,窃盗(44.7%),覚せい剤取締法違反(41.6%),傷害・暴行(33.3%)という,本編第1章で紹介したものと同じ罪名が見られる。これらに続く,強盗(事後強盗,強盗致死傷及び強盗強姦・同致死を含まない。以下,本節において同じ。)及び強姦も30%を超えており,一般的再犯危険性が比較的高いことがうかがえる。
>他方,同じ罪名の犯罪を繰り返すという観点から,「同一罪名再犯危険性」(1犯目とまったく同じ罪名のみを反復する傾向)及び「同種再犯危険性」(1犯目と同じ罪名の反復及び1犯目と異なる罪名の反復という傾向を併せ持つこと)の高さを見ると,状況は変わって,覚せい剤取締法違反の同一罪名再犯危険性が最も高く(19.4%),窃盗(17.7%),風営適正化法違反(16.7%)及び傷害・暴行(11.9%)がそれに続いている。強盗及び強姦は,それぞれ0.8%,1.4%に過ぎず,同種再犯危険性まで含めても,2.0%,3.0%に留まっている。
>以上のことから,強盗及び強姦の「一般的再犯危険性」は比較的高いものの,一般人の認識と異なって,「同一罪名再犯危険性」及び「同種再犯危険性」は低いことが分かる。そこで,世間の関心が高い性犯罪に関し,前記の強姦に加えて,強制わいせつ及び強盗強姦まで罪種を拡大して,1犯目に性犯罪をした者が2犯目以降に性犯罪を繰り返しているか否かに関し,70万人初犯者・再犯者混合犯歴(全期間)を対象に,1犯目が性犯罪であった者(1万898人)について,その後の再犯状況を分析した(2-4-1-2図)。
>その結果,性犯罪の同種再犯危険性は5.1%で,罪名を拡大したため,若干,強姦のみの場合よりも高めの数値であるが,他の罪名と比べて,「同一罪名再犯危険性」及び「同種再犯危険性」は低い水準にある。これは,世間一般では,性犯罪者は性犯罪を反復する危険性が高いと考えられていることが,事実に即していないことを示している。ちなみに,この点に関しては,米国,カナダ,英国等諸外国における調査においても同様の結果が得られており,日本だけに特別の状況が見られるわけではない。