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給付金業務の受託団体さらに850億円発注か 二次補正
中小企業などに最大200万円を出す「持続化給付金」の事業について、政府が第2次補正予算で事務費として約850億円を計上することが3日わかった。
給付金事業をめぐっては、1次補正予算で経産省が手続き業務全体を769億円で「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」に発注。協議会は運営の実態が不透明だとの指摘が相次いでいた。
3日の衆院経済産業委員会では、協議会が2016年の設立以来法律で定められている決算公告を一度も出していなかったことが新たに判明。巨額の公的事業の発注先としてふさわしいのかとの疑問が深まっている。
そんななかでも、経産省は2次補正予算で、協議会に再び業務を発注する可能性が高いとしている。業務を発注するやり方は未定だとしていて、現行の契約を変更することで引き続き協議会に業務を担ってもらうことも考えられる。
経産省中小企業庁の担当者は3日、「自動的に協議会に発注することは正直しにくくなった」としつつも、コストやスピードを考えると「結果的にそこにならざるを得ない」と話した。
政府は2次補正予算案で、給付金事業に1兆9400億円を積み増している。中小企業に営業自粛の影響が広がっていることや、給付対象を一部のフリーランスにも広げるためだ。
手続き業務については、申請から給付まで時間がかかったり、コールセンターにつながりにくかったりするとの批判もある。経産省は「スピード感を満たすためにも体制を強化しなければならない」などとして、手続き業務の費用を1次補正予算から増やす。
協議会は業務の大部分を広告大手電通に再委託していたこともわかっている。野党側は批判を強めていて、協議会をめぐる2次補正予算案の国会審議は紛糾しそうだ。(野口陽)
野党側「協議会が業務を電通に丸投げ」
連日話題となっているサービスデザイン推進協議会の問題が、3日も国会で取り上げられた。衆院経済産業委員会では、協議会が法律で定められている決算公告をしていなかったことが明らかになった。
1次補正予算の持続化給付金の事業で、経産省は手続き業務全体を769億円で発注している。2次補正予算ではこれとは別に、約850億円で業務を発注する見通しだ。経産省は発注先が再び協議会となる可能性が高いと認めている。
協議会は電話番号が明示されず、野党議員が事務所を訪れても対応しないなど、運営の実態がはっきりしないとの指摘が相次いでいた。財務情報を公開していなかったという法令違反も新たにわかり、巨額の公的事業の発注先としてふさわしいのかとの疑問が深まる。
また、協議会は業務の大部分を受注金額の97%にあたる749億円で、広告大手電通に再委託していたこともわかっている。
経産省中小企業庁の前田泰宏長官は経産委で、協議会との契約にあたり、電通に再委託することは知っていたが、協議会の提案書には金額が明記されていなかったと説明。「97%(分の金額で再委託する)という認識はなかった」と述べた。
野党側は契約の手続きについても質問し、競争入札の公示前に経産省の担当者が協議会側からヒアリングしていたこともわかった。
経産省は再委託や契約の手続きに問題はないと主張しているが、野党側は協議会が業務を電通に「丸投げ」していると訴えている。
協議会は電通が人材派遣大手のパソナ、ITサービス大手のトランスコスモスなどと設立したとされる。役職員も電通やパソナからの人がめだつ。
これまでに計14件総額約1600億円分の経産省の事業を受注してきた。うち9件約1500億円分は電通やパソナなどに再委託していた。電通などが公的事業を受注するための「受け皿」になっていたとの見方も強まっている。
立憲民主党の川内博史氏は「よくわからない団体や電通が事業を分け合う。経産省のビジネスモデルでずるいやり方だ」という。
経産省は協議会が受注した入札の予定価格を明らかにしていない。発注金額が適正だったのか検証しにくい状況だ。公的事業が複数の団体・企業を通じて再委託されるなかで、税金が無駄遣いされている懸念が高まる。