銃犯罪多発のブラジル、規制緩和策が物議
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3659815.html
アメリカのみならず、銃による犯罪が多発しているのがブラジルです。
過激な発言から「ブラジルのトランプ」と呼ばれる大統領が今年、発表した銃規制の緩和策が物議をかもしています。
先月、ブラジル・サンパウロ郊外の学校で元生徒2人が銃を乱射し、8人を殺害するという衝撃的な事件が発生しました。
事件後、ブラジルでは政権与党から「銃規制ではなく銃で自分の命を守るべき」との意見が多く出てきました。そのきっかけは・・・。
「国民の合法的な自衛権を確かにするため、このペンという武器を使い、大統領令に署名する」(ボルソナロ大統領)
元軍人のボルソナロ大統領は1月、銃規制の緩和策を打ち出しました。銃による自己防衛論は、軍人時代からの考え方が根本にありました。大統領選への出馬を表明した演説でも・・・。
「武器は私たちの命を守る以上に自由を守るものだ」(ブラジル大統領選出馬時のボルソナロ氏)
これまで、ブラジルでは銃の所持には厳しい審査が必要でしたが、大統領令によって警察の審査が不要になるなど、一般市民でも簡単に銃を購入し、所持・保管できるようになりました。
大統領はさらに、市民に銃の携帯を認める法整備の準備を進めています。
「こちらサンパウロ市内にある射撃クラブですが、防音設備と安全を備えた練習場が地下にあります」(山口貴史記者)
こちらの射撃クラブでは、平日にもかかわらず多くの人が射撃の練習に励んでいます。
銃の販売も行っている別の射撃クラブでは、初めて銃を扱う人の利用も増え、今年は前年比30%の売上アップを見込んでいます。
一方、大統領の思いとは裏腹に、最近の世論調査では61%の人が銃の所持に反対との結果が出され、大きな議論を呼んでいます。
ブラジルで、去年1年間に殺人事件で死亡した人はおよそ6万人。その70%が銃による事件での被害者です。
「警察が押収した80%以上の銃器は、合法的な市場からのものでした。つまり、銃が街に出回れば出回るほど、犯罪が増えていくことになる」(サンパウロ大学政治学専門 ブルーノ・マンソ准教授)
“銃社会”アメリカにも似た議論が沸きあがる中、ボルソナロ大統領の選択がブラジル国民の命と安全を守れるのかが問われています。