
アメリカの著名なシンクタンクであるブルッキングス研究所で、移民問題の専門家
として高い評価を得ている学者に、オードリー・シンガー女史がいる。彼女曰く
「日本は移民の受け入れを拒むことで、没落していく国の代表例として注目されて
いる。その点で日本は世界の教訓と言えるだろう」。
実際、わが国の移民受け入れは世界最低水準といえよう。例えば、日本の人口
の6%しか国民のいないスイス。永世中立と外国人制限で有名だが、そんな小国で
すら、日本の3倍もの外国人の帰化を認めている。わが国では一般永住者の数は220
万人程であり、総人口に占める割合は1.7%に過ぎない。この比率は、世界の中で
は170番目に位置する。いわば、世界の中で最も移民受け入れに対して門戸を閉ざ
した国が日本と言えそうだ。
日本政府は2008年に観光庁を立ち上げ、積極的に外国人の観光誘致を進めよう
としている。2020年の東京オリンピックを目標に4,000万人の外国人観光客を呼び
込む計画だ。一方で、外国人を歓迎する姿勢を見せながら、他方で外国人の犯罪
への係わりを懸念する国民が多いことに対して、何ら有効な対策を講じていない
のではないか。
実際の状況はどうなのだろうか。警察庁のデータによれば、外国人の犯罪検挙
件数は2005年をピークに減少傾向にある。外国人の入国者数は年々増加し、今で
は3,000万人を突破しているにもかかわらず、犯罪事案は少なくなっているのが
事実だ。この点、メディアも国民も現実と冷静に向き合う姿勢をもたねばならない。
https://www.data-max.co.jp/article/27133