中央大学の国枝繁樹教授は「無責任と言わざるを得ない」と眉をひそめた。
政府の計画は、実質2%、名目3%の高成長を前提にしており実態とかけ離れる。
2025年度に基礎的財政収支(PB)を黒字化するには高い成長で税収を増やし
た上で約4兆円分の収支改善が必要だ。ただ社会保障費の自然増の抑制以外に
は歳出削減の具体的な言及はない。「期限が近づけば再延期になるだろう」。
野村証券の西川昌宏氏も新たな目標に冷ややかな視線を送る。
しかも仮にこの高成長シナリオ通りになればなったでさらに不都合な真実に
直面しかねない。
政府が今年1月に示した中長期の経済・財政に関する試算では、低成長、
高成長の2つのケースで共に20年代半ばには名目の長期金利が名目の成長率
を上回る姿が描かれた。政府が見通す高い成長が実現した場合、長期金利は
25年以降、3%以上に上昇する。
金利が成長率を上回れば国内総生産(GDP)の2倍以上の膨大な債務残高
を抱える日本では利払い費が急増し、財政を圧迫する。「十分なPBの黒字
を確保できていなければ財政は破綻に向かう」(国枝氏)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3206266021062018EE8000/