
日本の「腐敗指数」は先進国で中の下、独立財政機関が必要!?
今年2月に世界の「腐敗認識指数2017」(トランスペアレンシー・インターナショナル)が公表された。
世界180の国と地域において、専門家とビジネスパーソンにアンケートを行い、「公的部門が腐敗していると感じている」と答えた人の割合を指数化したものである。ランキングが上位ほど清潔で、下がるほど腐敗度が高い。
清潔度1位はニュージーランドだったが、日本は20位だ(5年前は17位)。
経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国では18位、主要7カ国(G7)では5位。つまり、世界全体では上位にいるが、先進国では真ん中よりやや下に位置している。日本の公的部門の清潔度は悪くはないが、国際的に称賛されるほどではないといえる。
ランキングの下位を見ると、中国77位、インド81位、ブラジル96位、ロシア135位、北朝鮮171位、ソマリア180位だ。下位の国々の国民は、日本の昨今の「森友・加計問題」を聞いたら、「何をそんなに騒いでいるのか」と不思議に感じるかもしれない。しかし、上位国の国民は不適切な動きが起きていると思うだろう。
ところで、清潔度上位ベスト6の中に、北欧の福祉国家が4カ国入っている。デンマーク2位、フィンランド同率3位、ノルウェー同率3位、スウェーデン6位だ。
それら4カ国の昨年の名目国内総生産(GDP)に対する一般政府の収入(主に税収)は平均で52%、支出は51%だ。日本の比率はそれぞれ33%と37%(国際通貨基金〈IMF〉推計)。
つまり北欧4カ国は「大きな政府」であり、「高負担・高福祉」となっている。
4カ国の消費税率は24~25%と、日本よりはるかに高い。それにもかかわらず、国民は大きな不満を抱いていない。政府の清潔度が高く、税金は社会保障などに適切に使われていると、国民が政府を信頼しているからである。
そう考えると、今回の「森友問題」における財務省の公文書改ざんは悪影響を及ぼすと懸念される。「財務省がこのような不祥事を起こしては、2019年10月の消費税率引き上げは難しい」という声を、市場関係者から最近よく聞く。
増税は本来財務省のためのものではないが、信認が低下した役所の財政見通しを国民に説得性を持って伝えるのは確かに難しい。
こうなってくると、長期的な対策として、OECDが強く推奨している独立財政機関の設置を日本でも真剣に検討する必要があるだろう。
政府や政党からの影響を受けずに、中立的な立場で経済や財政の中長期的な見通しを作成する機関のことである。OECD加盟国の中ではすでに27カ国以上が導入している。G7で採用していないのは実は日本だけだ。
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http://diamond.jp/articles/-/167319