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ゆき ★
2017/04/04(火) 23:38:41.14 ID:CAP_USER
2歳で突然言葉を失い、「自閉症」と診断された米国人青年。彼を沈黙から救い出したのは、家族とディズニーアニメだった。
米国で暮らすオーウェン・サスカインド(26)は、「広汎性発達障害(自閉症)」と診断されている。2歳で発症し、6歳までは誰とも意思疎通ができなかった。ロジャー・ロス・ウィリアムズ(43)が最新監督作のドキュメンタリー映画「ぼくと魔法の言葉たち」で映し出すのは、オーウェンが自立を勝ち取っていく現在進行形の日常だ。
アニメにはないけれど
AERA 2017年4月10日号
幼いころから、ディズニーアニメのキャラクターたちが発するセリフをまるごと記憶してきた。それを日常に使う言葉に置き換えることで、外の世界とコミュニケーションできるようになった。だが、青年期を迎えたいまは、ディズニーでは解決できない課題がいくつもある
大学卒業の直前、親元を離れ一人で暮らす気分を両親に「不安で楽しみ」と語るオーウェン。映画はそんな場面はもちろん、恋に落ち、彼女との距離感に悩む様子も包み隠さず記録している。
オーウェンの恋愛相談にのる二つ年上の兄はカメラを前に、「弟に恋愛を教えるのは難しい」
と語っている。なぜなら、「セックス」は、ディズニーのキャラクターが決してしないことの一つだが、実際の恋愛では避けて通れないからだ。
撮影期間は、オーウェンにとって人生の節目だった。監督は偶然のタイミングだったと話す。
「両親から、『今年、オーウェンが学校を卒業して、アパートで一人暮らしを始めるんだ』と聞いてね。『え、そうなの?』と。僕は現在進行形のドラマに心引かれた。結果的に、カメラを回してからの1年は彼にとってはすごい時間になったんだ」
ウィリアムズは、2010年にアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞。アフリカ系アメリカ人監督として初めてのオスカー受賞者となった。すべての作品に共通するのは、貧困や人種差別、障がいなどに立ち向かう、ともすれば「はみ出し者」とされる人々を擁護する姿勢。監督自身が「はみ出し者」ゆえの疎外感を抱いてきた。ゲイで黒人。コミュニティーからも見捨てられ、頭の中に物語世界を作らなければ、生きていけなかったという。
「僕の映画づくりの情熱は声なきものに声を与えることにある」
とウィリアムズ。だからこそ、「オーウェンの視点」から物語世界を描くことに心を砕き、彼が伝記のように紡ぐ物語とスケッチをアニメ化して織り交ぜた。オーウェンが愛するのは、主役ではなく脇役のキャラクターたち。彼はアニメ映画を通じて、「すべての人が重要だ」というメッセージも学んでいた。
幻の受賞スピーチ
大統領選後の米国では「はみ出し者」に一層厳しい現実が突きつけられている。監督は言う。
「もし、この映画がアカデミー賞を受賞したら、受賞スピーチでトランプ大統領に、『障がいがある人のモノマネをしないでくれ、彼らに対して寛容さと受容の精神を持ってほしい』と促すつもりでした」
ささくれ立った社会だからこそ、オーウェンのようなおおらかな視点が欠かせない。
(ライター・古川雅子)
http://toyokeizai.net/articles/-/166097
米国で暮らすオーウェン・サスカインド(26)は、「広汎性発達障害(自閉症)」と診断されている。2歳で発症し、6歳までは誰とも意思疎通ができなかった。ロジャー・ロス・ウィリアムズ(43)が最新監督作のドキュメンタリー映画「ぼくと魔法の言葉たち」で映し出すのは、オーウェンが自立を勝ち取っていく現在進行形の日常だ。
アニメにはないけれど
AERA 2017年4月10日号
幼いころから、ディズニーアニメのキャラクターたちが発するセリフをまるごと記憶してきた。それを日常に使う言葉に置き換えることで、外の世界とコミュニケーションできるようになった。だが、青年期を迎えたいまは、ディズニーでは解決できない課題がいくつもある
大学卒業の直前、親元を離れ一人で暮らす気分を両親に「不安で楽しみ」と語るオーウェン。映画はそんな場面はもちろん、恋に落ち、彼女との距離感に悩む様子も包み隠さず記録している。
オーウェンの恋愛相談にのる二つ年上の兄はカメラを前に、「弟に恋愛を教えるのは難しい」
と語っている。なぜなら、「セックス」は、ディズニーのキャラクターが決してしないことの一つだが、実際の恋愛では避けて通れないからだ。
撮影期間は、オーウェンにとって人生の節目だった。監督は偶然のタイミングだったと話す。
「両親から、『今年、オーウェンが学校を卒業して、アパートで一人暮らしを始めるんだ』と聞いてね。『え、そうなの?』と。僕は現在進行形のドラマに心引かれた。結果的に、カメラを回してからの1年は彼にとってはすごい時間になったんだ」
ウィリアムズは、2010年にアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞。アフリカ系アメリカ人監督として初めてのオスカー受賞者となった。すべての作品に共通するのは、貧困や人種差別、障がいなどに立ち向かう、ともすれば「はみ出し者」とされる人々を擁護する姿勢。監督自身が「はみ出し者」ゆえの疎外感を抱いてきた。ゲイで黒人。コミュニティーからも見捨てられ、頭の中に物語世界を作らなければ、生きていけなかったという。
「僕の映画づくりの情熱は声なきものに声を与えることにある」
とウィリアムズ。だからこそ、「オーウェンの視点」から物語世界を描くことに心を砕き、彼が伝記のように紡ぐ物語とスケッチをアニメ化して織り交ぜた。オーウェンが愛するのは、主役ではなく脇役のキャラクターたち。彼はアニメ映画を通じて、「すべての人が重要だ」というメッセージも学んでいた。
幻の受賞スピーチ
大統領選後の米国では「はみ出し者」に一層厳しい現実が突きつけられている。監督は言う。
「もし、この映画がアカデミー賞を受賞したら、受賞スピーチでトランプ大統領に、『障がいがある人のモノマネをしないでくれ、彼らに対して寛容さと受容の精神を持ってほしい』と促すつもりでした」
ささくれ立った社会だからこそ、オーウェンのようなおおらかな視点が欠かせない。
(ライター・古川雅子)
http://toyokeizai.net/articles/-/166097