![ネット上で誹謗中傷を受けている車いすユーザーの伊是名夏子さんが訴える [きつねうどん★]->画像>1枚](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/1/420wm/img_01dc8ba8fa310de6d945025ca775401369309.jpg)
車いすユーザーでコラムニストの伊是名夏子さんが今年4月、JR東日本の無人駅で下車しようとして駅員から“乗車拒否”された体験をブログに書いたところ、ネット上で炎上し、誹謗中傷が現在も続いている。伊是名さんは10月11日、炎上後初めて公的な場に姿を現し、女性が安全にインターネットを使える社会の構築を訴えた。
「火のないところに煙は立たないは間違いでした」
伊是名さんは会見で、こう語り始めた。
「私は今まで火のないところに煙は立たない、いじめられたり炎上にあったりするのは本人にも問題があると思っていました。しかしそれは大きな間違いでした。今回火のないところにわざとライターを持ってきて、どんどん燃え広げてデマを作り上げ、それを世界中に拡散する人がいるのがよくわかりました」
伊是名さんは今年4月、子ども2人と介助者らで旅行に出かけた。その行き先が無人駅だったことで、当初駅員から「階段しか無いので案内できない」といわれたが、結局他の駅の駅員が同行し車いすを運んだ。これについて伊是名さんは自身のブログに「ここまでの乗車拒否は初めてでした」と書いたところネット上で大炎上となり、伊是名さんには半年経った今も誹謗中傷やデマの拡散が続いている。
(関連記事:「便利なものを増やして皆で幸せになりたい」伊是名夏子さんに聞く)
半年間ネットの誹謗中傷やデマが続いている
「最初は『車いすだから事前に連絡しろ』、『駅員が可哀想』という批判もありましたが、それが『わざと狙ってやったのに違いない』、『障がい者のくせに』、『当たり屋』、『プロ障がい者』という誹謗中傷になり、家の住所や家庭のことがSNSに書かれました。さらには『階段から突き落としたい』、『税金の無駄遣い』、『他人に頼らなければ生きていけない自分を恥じろ』といった暴言が書かれています」
伊是名さんによれば、他にも「テロリスト」、「くず」、「社会に迷惑をかけているのだから亡くなった方が皆のため」、「モンスタークレーマー」といった言葉が次から次へと書きこまれているという。
「ヘルパー制度を不正に利用している、歩けるのに歩けないと嘘をついているというデマもどんどん書かれています。私の著書のアマゾンレビューには、本の内容と関係の無い言葉が並び、ヤフコメではヘイトスピーチにつながるようなことが書かれています。またYouTubeでも『伊是名夏子の不正を暴く』といった動画がつくられ20万回以上再生されているものもあります」
5カ月間でツイッターの書き込みは4万5千件以上、ヤフコメは約8千件に上るという。
「生活がズタズタにされ、涙が止まらなくなる」
被害はネット上だけにとどまらない。伊是名さんの住んでいる地域の役所に不正受給について問い合わせをしたり、警察に電話をするケースもある。またパートナーの会社や伊是名さんの仕事の繋がりのあるところにも電話をしてクレームを入れる。自宅にも差出人不明の手紙が届いたり、携帯電話にも非通知着信がある。
こうした事態を受け、伊是名さんは「生活がズタズタにされている」と語る。
「街中で子どもを叱っているのをみられたら虐待していると拡散されるのではないかと怯えたり、仕事相手に非常識とかわがままとか呼ばれるのではないかと常に不安を抱えています。時に何も考えられなくなったり、気持ちが落ち込んだり、消えた方がいいのかなと考えたり。涙が止まらなくなることもあります。ネット上で毎日集団リンチに遭っているような気がします」
ネットで誹謗中傷に苦しむ被害者は、よく周りから「ネットの書き込みなんか気にしなくていい」「時間が経てばおさまる」とアドバイスされる。しかし伊是名さんはこう反論する。
「例えば学校でいじめが起きたときに、いじめた側に改善や責任を求めるのではなくて、いじめられた側にしばらく学校を休んだらと提案するのと同じで、何も問題の解決にはなっていません。加害者の責任、そしてプラットフォームの改善が必要です。そうしないと私のように誹謗中傷やデマが拡散され、次のターゲットを見つけてまた繰り返されるだけです」