→設備投資は前期比1.9%増に上方修正、個人消費は0.8%減に下方修正
→ぬか喜びのGDP改定、残念ながら実態反映されず−大和証の岩下氏
Pedestrians wearing protective masks cross a street in the Yurakucho district of Tokyo, Japan. Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
2020年1−3月期の実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率2.2%減と、速報値の3.4%減から上方修正された。市場予想は2.1%減だった。同四半期の法人企業統計の結果を受け、設備投資が速報値のマイナスからプラスに上振れたことが主な押し上げ要因。内閣府が8日発表した。
□キーポイント
・GDP改定値は前期比0.6%減と速報値0.9%減から上方修正(ブルームバーグ調査の予想中央値は0.5%減)
・年率換算2.2%減、速報値3.4%減から上方修正(予想2.1%減)
・設備投資は1.9%増、速報値0.5%減から上方修正(予想1.5%増)
・個人消費は0.8%減、速報値0.7%減から下方修正(予想0.7%減)
速報から上方修正
設備投資上振れ
Source:内閣府
西村康稔経済再生担当相はGDP発表後の記者会見で、法人企業統計で1−3月期の設備投資がプラスになったことを踏まえて上方改定されたが、法人統計は通常より回収率が低いため、「予断は許さない」と指摘。「企業の収益環境は依然厳しく、設備投資の先行きは慎重に見極める必要がある」とし、7月末がめどとされる法人統計の確報が公表され次第、GDPに反映すると語った。
□エコノミストの見方
●日本総合研究所の成瀬道紀副主任研究員:
・設備投資の上方修正が大きく、GDP上方修正の理由はそれに尽きる。景気全体が厳しいという判断は変わらない
・法人企業統計は回収率が低く、速報値の位置付け。決算が遅れている企業は新型コロナウイルスの影響が大きく、設備投資が減っている可能性がある。今後の設備投資も不透明で、3月時点で影響は限定的でも4月に減らしていくことあり得る
・緊急事態宣言が出て物理的に休業している店が多く、景気の底は4−6月になると思う。製造業や建設は影響が遅れて出てくるところもあり、底は打ったものの苦しい状況が続く
・第2次補正は効果はあるだろう。家賃補助や雇用調整助成金を支給しないと、倒産や失業で生産基盤や人的資源が失われてしまう。需要が戻ってきたときに立ち上がれるよう、当面支えていく
●大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト:
・法人企業統計を受けてGDPを作り直しているので、設備投資の上方修正の分と、在庫の若干の下方修正が反映された
・設備投資の一致指数として見ているのは資本財の出荷動向で、4月はひどい状況、5月も悪いと思っている。簡単な言葉で言うと、ぬか喜びのGDP改定値である。残念ながら実態は反映されていない
・GDP改定値の結果を受けて4−6月期を計算し直すが、まだやり直していない時点で4−6月期は年率換算で18.8%減程度に置いている。結構大きなマイナスであることは確かではあると思う
・実態にそぐわないGDP改定値での上方修正も、次回8月の4−6月期GDP発表時にまた変わるので、4−6月期の予想が難しくなってくる
□詳細(内閣府の説明)
・国内需要が上振れた。法人企業統計の結果を反映させた結果、設備投資が上方修正となった
・設備投資については法人企業統計の回答率が低く、実勢と異なる結果となっている可能性があるとしていることは承知している
□関連記事
1〜3月の設備投資、2四半期ぶりプラス−コロナで回答率下振れ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-31/QB2ZPHT0AFBN01
4月の国内指標、生産・小売り・雇用が軒並み悪化−コロナ影響本格化
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-29/QB15DMDWRGGP01
第2次補正予算は過去最大31.9兆円、公債依存度は過去最高56%に
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-27/QAV0MRT1UM0X01
1~3月GDP年率3.4%減、2期連続マイナス-消費や輸出落ち込む
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-17/QACKHYT1UM0W01
2020年6月8日 8:57 JST
更新日時 2020年6月8日 11:49 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-07/QBDMSJDWLU6S01
→ぬか喜びのGDP改定、残念ながら実態反映されず−大和証の岩下氏
Pedestrians wearing protective masks cross a street in the Yurakucho district of Tokyo, Japan. Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
2020年1−3月期の実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率2.2%減と、速報値の3.4%減から上方修正された。市場予想は2.1%減だった。同四半期の法人企業統計の結果を受け、設備投資が速報値のマイナスからプラスに上振れたことが主な押し上げ要因。内閣府が8日発表した。
□キーポイント
・GDP改定値は前期比0.6%減と速報値0.9%減から上方修正(ブルームバーグ調査の予想中央値は0.5%減)
・年率換算2.2%減、速報値3.4%減から上方修正(予想2.1%減)
・設備投資は1.9%増、速報値0.5%減から上方修正(予想1.5%増)
・個人消費は0.8%減、速報値0.7%減から下方修正(予想0.7%減)
速報から上方修正
設備投資上振れ
Source:内閣府
西村康稔経済再生担当相はGDP発表後の記者会見で、法人企業統計で1−3月期の設備投資がプラスになったことを踏まえて上方改定されたが、法人統計は通常より回収率が低いため、「予断は許さない」と指摘。「企業の収益環境は依然厳しく、設備投資の先行きは慎重に見極める必要がある」とし、7月末がめどとされる法人統計の確報が公表され次第、GDPに反映すると語った。
□エコノミストの見方
●日本総合研究所の成瀬道紀副主任研究員:
・設備投資の上方修正が大きく、GDP上方修正の理由はそれに尽きる。景気全体が厳しいという判断は変わらない
・法人企業統計は回収率が低く、速報値の位置付け。決算が遅れている企業は新型コロナウイルスの影響が大きく、設備投資が減っている可能性がある。今後の設備投資も不透明で、3月時点で影響は限定的でも4月に減らしていくことあり得る
・緊急事態宣言が出て物理的に休業している店が多く、景気の底は4−6月になると思う。製造業や建設は影響が遅れて出てくるところもあり、底は打ったものの苦しい状況が続く
・第2次補正は効果はあるだろう。家賃補助や雇用調整助成金を支給しないと、倒産や失業で生産基盤や人的資源が失われてしまう。需要が戻ってきたときに立ち上がれるよう、当面支えていく
●大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト:
・法人企業統計を受けてGDPを作り直しているので、設備投資の上方修正の分と、在庫の若干の下方修正が反映された
・設備投資の一致指数として見ているのは資本財の出荷動向で、4月はひどい状況、5月も悪いと思っている。簡単な言葉で言うと、ぬか喜びのGDP改定値である。残念ながら実態は反映されていない
・GDP改定値の結果を受けて4−6月期を計算し直すが、まだやり直していない時点で4−6月期は年率換算で18.8%減程度に置いている。結構大きなマイナスであることは確かではあると思う
・実態にそぐわないGDP改定値での上方修正も、次回8月の4−6月期GDP発表時にまた変わるので、4−6月期の予想が難しくなってくる
□詳細(内閣府の説明)
・国内需要が上振れた。法人企業統計の結果を反映させた結果、設備投資が上方修正となった
・設備投資については法人企業統計の回答率が低く、実勢と異なる結果となっている可能性があるとしていることは承知している
□関連記事
1〜3月の設備投資、2四半期ぶりプラス−コロナで回答率下振れ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-31/QB2ZPHT0AFBN01
4月の国内指標、生産・小売り・雇用が軒並み悪化−コロナ影響本格化
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-29/QB15DMDWRGGP01
第2次補正予算は過去最大31.9兆円、公債依存度は過去最高56%に
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-27/QAV0MRT1UM0X01
1~3月GDP年率3.4%減、2期連続マイナス-消費や輸出落ち込む
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-17/QACKHYT1UM0W01
2020年6月8日 8:57 JST
更新日時 2020年6月8日 11:49 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-07/QBDMSJDWLU6S01